「出荷予定データ」のご紹介
前号のVAN VAN Topics で、物流におけるデータ活用と業務改善を目的に当社が策定した「ロジスティクスEDI概要書Ver.2・0」をご紹介しました。
今号からは、ロジスティクスEDIのより詳しい情報を連載でお伝えしていきます。第1回は、卸売業の拠点での納品作業をスムーズにし、物流網全体の改善に貢献する「出荷予定データ」についてご説明します。
ドライバーの過重労働などの解消にロジスティクスEDIで効率化を図る
物流業界では、ドライバーの長時間労働の解消が急務となっています。2018年に成立した働き方改革関連法による時間外労働規制は現在、自動車運転業務については猶予期間となっていますが、2024年4月からドライバーにも年間960時間の上限が設けられます。それに先立って2023年4月からは、中小企業における月60時間超の時間外労働の割増賃金率が50%に引き上げられます(大企業は適用済み)。
当社が提供するロジスティクスEDIは、物流に関する各種データをメーカー・卸売業間で交換することによって、両者と輸配送事業者の業務の効率化を図り、業界が抱える課題を解消することを目的にしています。2020年2月にその全体像を示す「ロジスティクスEDI概要書」を公表し、同8 月にデータ種の第1弾として「出荷予定データ」をリリース。今年1月には各社のシステム環境に合わせた「運用想定」「導入ステップ案」を追加した概要書のVer.2・0を公表しました。
ドライバーの長時間労働の一因となっているのが、物流拠点で発生するトラックの「待ち行列」です。卸売業は限られたスペースと人員で商品の受け入れを行うため、受け入れられる物量を超えて納品が集中した時や、到着した商品が発注数量と異なるなどの理由で検品に手間取った時に、トラックの待機時間が生まれます。「出荷予定データ」は、このような卸売業の受け入れ業務の効率化に貢献します。
納品情報を事前に照合することでスムーズな受け入れやペーパーレス化も可能に
卸売業からメーカーに商品を発注した場合、すべての商品が一度に届くとは限りません。欠品などにより一部の商品が届かないことや、複数のトラックに分かれて異なる日時に届くことも想定されます。「出荷予定データ」には、1台のトラックにどの商品が積まれており、いつごろ到着する見込みかといった情報が含まれ、ASN(Advanced Shipping Notice=事前出荷案内)の機能を果たします。卸売業はその情報をもとに倉庫内のスペースを確保したり、適切な人員配置などをあらかじめ調整しておくことで、荷卸しや検品などをスムーズに行うことができます。このような業務の効率化によりトラック1 台ごとの作業時間が短縮され、待機時間も減少します。健康食品やペットフードなどの賞味期限もデータに含まれるため、管理が容易になります。
さらに、納品伝票を「出荷予定データ」で代用することもできるため、ペーパーレス化にもつながります。
複数メーカーの活用が効率的な物流のカギを握る
「出荷予定データ」はメーカーから卸売業に送信されますが、トラックの積載状況や到着予定日時など詳しい情報は委託先の倉庫管理事業者や輸配送事業者しか分からない場合が多いため、データ作成には委託先事業者の協力が不可欠です。
メーカーはもちろんのこと、卸売業でも各社が複数の物流拠点を有しており、その作業内容も拠点ごとに異なることが多いです。
このため、メーカーと卸売業の間でデータ交換を始める際は、当社が従来提供している商流中心の標準EDIとは異なり、まず一部の拠点間で試験的に導入し、運用範囲を順次広げていくことを推奨しています。
また、複数のメーカーが同じ倉庫管理事業者に業務委託することにより、1台のトラックに複数メーカーの商品が混載されていたりする現状もあります。卸売業としては、トラックに積まれているすべての商品が事前に分かったほうが都合がよいため、より多くのメーカーとデータを交換するほどメリットは高まると言えます。
まとめ 「出荷予定データ」により可能になること
■ドライバーの待機時間短縮
■卸売業の物流拠点における納品業務の効率化
■欠品情報の事前案内
■賞味期限情報の事前案内・データ化
■納品案内書のペーパーレス化
上記により、ユーザー様の業務効率化、CO₂排出量削減への取り組みを間接的に支援します。
今回は、ロジスティクスＥＤＩの「出荷予定データ」についてご説明しました。ご不明な点や、もっと詳しく知りたいことがございましたら、ぜひお問い合わせください。
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