- 厳しい事業環境下でも増収増益で着地
- 当社事業を取り巻く環境は、原材料やエネルギー価格の高騰、さらに物流費、人件費の上昇などの影響により、生活者の生活防衛意識が依然として高く、購買頻度の減少が見られました。また、物流2024年問題に伴う配送頻度や発注単位の見直し、商品サイズの絞り込みによる発注アイテム数の減少が見られたり、卸流通を通らないプライベートブランド商品の拡大が続いたりするなど、当社にとって厳しい状況が続きました。
このような事業環境下ではあったものの、新規ユーザー獲得のための営業活動を重点的に行った結果、前年同期に対し、増収増益で着地しました。 - 横展開×深掘り×対象領域の拡大で
利用企業数・接続本数をさらに伸ばす - 当社が中長期的に増収増益基調を継続していけるよう、重点的に取り組む事業戦略の1つが隣接業界への「基幹EDIの横展開」です。OTC医薬品や健康食品業界などに向け、対象業界の製品を取り扱う既存ユーザー様の協力を得て、積極的に営業活動を展開しています。39期は、新規ユーザー数・接続本数ともに対前年・対計画を上回り、販売レポートサービスを利用する新規メーカー数も増え、増収となりました。
2つ目の事業戦略は「基幹EDIデータの深掘り」です。まだ十分にご利用いただけていないEDIデータの利用推進に向け、活動しています。これまでは「システム部門」の方が主な接点でしたが、受発注データを取り扱う「受注部門」、販売データを利用する「営業部門」など、直接データをご利用される部門の方々との接点を広げる活動により、ユーザー様社内での当社の認知度が高まりつつあります。このことにより、コンタクトをとりづらかった「物流部門」や「経理部門」の方に対して、ロジスティクスEDIの出荷予定データ(以下、ASNデータ)、請求関連データの請求照合や請求鑑データの利用を直接訴えることが可能となり、確実に利用企業数が増え始めています。また、このような取り組みを行うことで返品予定データの利用へ繋がるなど、未利用データの利用推進がじわじわと広がっています。
なかでもロジスティクスEDIでは、日用品・化粧品業界の大手企業にASNデータの活用が徐々に浸透し始めています。その結果、利用企業数、接続本数ともに着々と増加しています。さらに39期より、新サービス「LOGITERAS(以下、ロジテラス)」の実働を開始しました。現在、メーカーから卸売業に送信するASNデータに物流現場の情報を付加する機能を利用いただいています。商品の輸配送にかかわる様々な事業者とロジテラスを介して必要なデータを連携できるようにすることで、さらなる効率的な輸配送を実現し、ロジスティクスEDIの拡大にも役立つと考えています。
また、ロジスティクスEDIの基盤は、メーカー、卸売業、物流事業者のほか、日用品サプライチェーンにおける課題解決や物流業務の標準化・効率化に取り組むことを目的として設立された「日用品サプライチェーン協議会」にてご活用いただいており、ロジスティクスEDIを通して日用品業界における円滑な物流データ共有の推進を支援してまいります。
- 対象領域を拡大し、
さらなる流通の高度化実現へ - 3つ目の事業戦略は「対象領域の拡大」です。新たな価値創出へのチャレンジの1つとしてスタートしたPOSデータクレンジングサービスの利用拡大に向け、販売活動の強化を継続します。POSデータクレンジングサービスは、40期では利用拡大に向け、販売活動の強化を継続します。具体的には、実際に個社が保有するデータを用いてその活用価値を実感いただけるよう、トライアル利用を推進しています。また、販売データと小売業POSデータを合わせてご利用いただくことで、トップライン成長に繋がる経営判断として活用可能であることなどを訴求しながら、提供ユーザー数の拡大を図っていきたいと考えています。
- 社員の視野・視点・視座に拡大をもたらす
制度や教育を通じて組織の力の最大化を目指す - ロジスティクスEDIやPOSデータクレンジングなど新たな展開として芽吹いたサービスを確実に軌道に乗せつつ、並行して新サービスの創出に注力できる体制づくりを意図し、4月に組織変更を実施しました。変化が激しい事業環境に臨機応変に対応できるよう、組織も柔軟に変更・運用できる体制としています。
あわせて、社員一人ひとりが多様な経験を得ることで、新たな価値観、知見を得られるような制度の導入にも継続して注力しています。まず、当社の事業について、広い視野、様々な視点、高い視座で見ることができる人材の育成を目指して社内兼業制度を既に取り入れました。8月には副業制度も導入し、さらに在籍型出向と留学制度を準備が整い次第実施していく予定です。これらにより社員の視野・視点・視座の成長に繋がることを期待しています。
社員が継続的に成長できる制度を整え、組織の力を最大化させていきたいと考えています。 - 株主・投資家の皆様へのメッセージ
- 厳しい事業環境が続きますが、情報インフラ企業として、安定性と収益性を重視した経営の実現に取り組んでまいります。売上高を伸ばすために、既存サービスの拡販活動はもちろんのこと、新規サービスの創出に注力していきます。そしてこのことが長期的な企業価値の向上にも繋がると考えております。 40期は増収を目指す一方、中長期的に増収増益基調を継続するため、事業投資に力を入れていく、大切な時期と捉え、必要な投資をしてまいります。また、新規事業開発のための必要な活動費の増加も見込んでおり、減益を計画しています。しかしながら株主還元を重視し、安定的な配当を継続していく所存です。引き続き、中長期的な視点でご支援いただきたく、何卒よろしくお願い申しあげます。
既存サービスの拡販と新規サービスの創出により
中長期的な増収増益基調を継続し
企業価値の向上に取り組んでまいります