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トップメッセージ

逆風の事業環境の中でも
基幹EDI事業が着実に成長
 昨今の物価高や様々な商品の値上げに対しての節約疲れや買い控えなどが消費者の購買力低下につながった一方で、外出機会の増加やインバウンド需要の回復に伴い、化粧品・洗濯用洗剤・OTC医薬品などの売れ行きに好調さがみられました。また、ペット関連商品の売れ行きも堅調に推移しました。
 このような事業環境のもと、重点的に取り組んでいる主力事業の基幹EDIの横展開および深掘りが着実に進捗し、WebサービスのMITEOS(ミテオス)の活用も含め、「基幹EDI」のユーザーの裾野が広がり、利用企業数・接続本数共に着実に増加しました。さらに販売レポートサービスの伸長もあり、増収となりました。
 利益面では、前期(39期)に実施した商品データベースなどのリニューアルに関わる減価償却費が増加したものの、上期に予定していた新規開発活動の一部が下期にずれ込むため、計画値に対しては上振れ着地となりました。下期には活動を進捗させる予定にあり、通期計画に変更はありません。
  
4つの成長戦略で新たな事業成長の道を拓く
 当社は、情報インフラ企業として、データ活用を通じた業界全体の「生産性向上・業務効率化」「トップライン増力化」「サステナビリティ」の実現に寄与するという視点から、持続的な価値提供を通じた成長に向け、大きく4つの軸で取り組みを進めています。

■基幹EDIの横展開×深掘り
 1つ目の「基幹EDIの横展開」では、既存の利用企業の協力を得て積極的に営業活動を展開し、利用企業数、接続本数、データ件数すべてが増加し、好調に推移しました。また、販売レポートサービスを利用する新規メーカー数も増え、着実な事業成長を下支えする成果につながっています。
 2つ目の「基幹EDIの深掘り」についても受発注や販売データ以外のデータ種の利用が徐々に増加しています。特にまだ利用が少なく、業務の効率化につなげていただきたいデータ種である「請求鑑データ※1」は、利用企業数、接続本数共に増加しました。適格請求書等保存方式※2(インボイス方式)への対応として推奨したデータ種であり、接続企業がデータ活用の利便性を実感され、利用企業の増加につながっていると考えています。また、ロジスティクスEDIの拡大に比例して「出荷予定データ※3」の利用も拡大し、接続本数は2022年7月期に比べ約30倍となりました。さらに「入荷検収データ※4」の稼働が開始しました。「出荷予定データ」とセットのデータ種であり、ロジスティクスEDIが業界内で浸透し始めたことで、活用が始まったと捉えています。

※1 メーカーが卸売業に代金を請求する際に、請求期間や請求金額合計、消費税率・額などの情報を通知するデータ
※2 複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式
※3 卸売業からの発注に基づき、メーカーの出荷予定情報や出荷確定情報を卸売業に通知するデータ
※4 卸売業がメーカーからの事前出荷案内に基づき、受領した商品情報をメーカーに通知するデータ

◾️対象領域の拡大
 3つ目の「対象領域の拡大」では、現在、データ活用による日用品流通の高度化実現に向けた取り組みとして、物流領域における「ロジスティクスEDI」とマーケティング領域における「POSデータクレンジングサービス」の立ち上げに挑戦しています。
 声高に警鐘が鳴らされてきた「物流2024年問題」ですが、ここまでは各社・各グループ単位での工夫や取り組みにより、想定されていたほどの大きな混乱を招いてはいないとみられます。しかしながら、2024年12月時点でのトラックドライバーの有効求人倍率は全職業平均と比較して2倍以上と人手不足は依然、継続しています。物流費の高騰に加え、人材採用難・人件費増が重く圧し掛り、モノが運べなくなるリスクが残る中、当社はより効率的な輸配送を実現し、持続可能な物流環境を実現する活動として、今後もロジスティクスEDIを通して、日用品業界における円滑な物流データ共有の推進を支援してまいります。
 導入以降、作業効率の向上、時間短縮を実感いただき、利用企業数・接続本数共に着実に伸長しています。物流関係のデータは、企業単位ではなく拠点単位での調整が必要となることから、商流データに比べるとデータ稼働開始までの調整に時間がかかる傾向にあるものの、その存在と価値の認知は確実に広がりつつあり、順次、利用企業数・接続本数が増えていくフェーズへと一段階、推し進めることができたものと捉えています。
 今後は、バース予約との連携などの機能充実も視野に入れながら、利用企業数を拡大することで、業界全体の物流効率の向上の一助となることを目指します。
 一方、マーケティング領域における「POSデータクレンジングサービス」は、実際に個社が保有するデータを用いてサービスを利用しながら、具体的な検証を通じてその活用価値を実感いただけるようトライアル利用をご提案している段階です。
 この数年、業界全体の市場規模は金額ベースでは拡大している一方、販売個数に伸び悩みがみられることが認識されており、販売個数増加による成長実現への意識の強まりが感じられます。「POSデータクレンジングサービス」は、販売データの利用と併せることでその一助になるものと考えており、今後は一律的なメリットの訴求を行いつつ、ユーザーごとに異なる要望・ニーズに沿った提案を展開します。さらに、サービスに対する問題などを伺いながら一層の進化を図り、トップライン成長に寄与するサービスと認識いただけるよう、提案活動を継続していきます。

◾️新サービスの創出
 4つ目の「新サービス創出」として、現在、「返品ワークフローシステム・サービス」の検討・開発を進めています。これは、EDIの「返品予定データ」交換前後の業務プロセスを効率化するWebサービスです。本来、業界全体として返品ゼロが望ましい姿ではあるものの、現実的には、メーカーと卸売業間で返品に関する事前調整が煩雑で、担当者の業務負荷が高くなっています。具体的には、電話・FAX・メールなどのバラバラな連絡手段が使われており、このことは紛失や間違いにつながる可能性があり、さらに、履歴管理も煩雑にもなります。また、鑑情報や返品リストのフォーマットが統一されておらず、このことはシステムによる自動処理などの効率化の妨げになる、などの問題があります。このような問題を解決するため、Webサービスに手段を一本化して効率化したいとの要望にお応えする新サービスです※5
 今後は同様の発想で、すでにあるデータ種との親和性や連携の高さを念頭に、メーカー・卸売業間のEDIデータ交換前後の業務プロセスに存在するワークフローの範囲までを包括するサービスを増やしていきたいと考えております。また、利便性高く、より付加価値を感じていただけるサービスを定常的に検討・開発していくための仕掛けづくりも定着させてまいります。

※5 本サービスの提供によって、当社が卸売業による返品の実施を推進・推奨するものではありません。  
  
株主の皆様へのメッセージ
 当社は堅調に業績が推移していくビジネスモデルであるという特徴から、株主の皆様への利益還元として安定的な配当を継続していくことが重要な資本政策の一つであると認識しています。そのためにも増収増益基調の継続につながる持続的かつ長期的な企業価値の向上は不可欠であり、堅調なEDI事業に慢心することなく、次なる事業の柱を早急に作り上げていく必要があると考えています。
 引き続き、利用企業の業務に対する知見・中立的な協業視点をもって、既存サービスの拡充はもちろん、新たな付加価値を生む新規サービス創出に積極的に経営資源を投入し、様々な可能性を視野に入れた活動を推進し、ご期待に応えるべく努めてまいる所存です。
 株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。