インバウンドの取り組み
インバウンド市場の変化を
捉えて情報を発信
インバウンド市場はブームを超え産業化されつつあると言っても過言ではありません。私たち一般消費財業界においても、訪日ゲストによる購買の恩恵を少なからず受けています。一方で、インバウンド市場は刻々と変化しており、弊社では業界の皆様が市場の変化を正確に捉え、各社の施策に生かせる情報を提供してきました。弊社の インバウンド市場に関する三つの取り組みをご紹介します。
ー 私たちがご紹介します。ー
今村 佳嗣
執行役員
イノベーション推進担当役員 兼
イノベーション推進部長
志賀野 芳宏
イノベーション推進部
チーフプランナー
顧 維維
イノベーション推進部
Ⅰ.インバウンド調査レポート 訪日ゲストの買物意識・行動を調査 リピーターの買物傾向の変化を把握
インバウンド調査
レポート 2018年版
弊社では、“爆買い”や“インバウンド”という言葉が世の中に出る少し前の2015年から日用品・化粧品の調査を行ってきました。2017年からは酒類・加工食品業界の株式会社ジャパン・インフォレックスと共同で、一般消費財全般を対象に実施しています。また、これまでは訪日ゲスト数の多い中国、韓国をベースに台湾、香港、タイ、ベトナムで訪日中の買物行動と意識について調査を行い、レポートを発信してきました。
このレポートから派生し、特定のメーカー様からのご依頼により、中国で家庭訪問による日常生活に関する調査をしたこともあります。今後もこのようなご依頼にポジティブに取り組んでいきます。
過去の調査から、訪日旅行のスタイルが多様化していること(団体ツアーから個人旅行、都市部から地方への観光)、リピーターの買物傾向の変化など多くの事実が定量的に把握できています。本年はインドネシアとフィリピンにまで調査対象を広げる計画で、これらの国では信仰する宗教の違いも買物行動に影響することが想定されます。また、インバウンド市場において無視することはできない中国は、沿岸部と内陸部の都市の意識の違いがわかる調査に踏み込みます。業界の皆様に調査レポートを上手にご活用いただき、インバウンド市場全体のさらなる活性化につながることを期待しています。
Ⅱ.インバウンドセミナー インバウンド市場の現状と今後をユーザーと共有 最新情勢に合わせたテーマを設定
第3回(特別セミナー)を3月13日に開催
インバウンド市場に関して、その時々のトピックスを業界の皆様に広く知っていただくため、2016年からセミナーを開催しています。
一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会にご協力いただき、インバウンド情勢に詳しい専門家を講師に迎え、インバウンド市場の現状や成功事例、トレンドなどについて講演いただいています。
本年 3 月には特別セミナーを開催し、急速に変化する中国市場の構造変革の本質と、インバウンド市場の現状と今後についてわかりやすく講演いただきました。
●第3回 インバウンドセミナー(特別セミナー)講演抄録[ 2019年3月13日]
株式会社インテック
フェロー
大阪大学 招へい准教授
Tクラウド研究会
発起人・幹事
中川 郁夫 氏
一般社団法人
ジャパンショッピング
ツーリズム協会
代表理事 事務局長
株式会社USPジャパン
代表取締役社長
新津 研一 氏
Ⅲ.インバウンド研究会 一般消費財流通ビジネスに生かす実践研究 フィールドで知る訪日ゲストの実態
第3期インバウンド研究会の2回目を5月15日に開催
インバウンド調査レポートでは、一般消費財のインバウンド市場を俯瞰した情報をまとめていますが、その中のテーマやターゲットを絞り、深い知見を得ることを目的に企画したのがインバウンド研究会です。2016年からメーカー、卸売業の有志を募り、参加者全員が研究員となって現場での実践型研究に取り組んでいます。
第1〜2期では、外国人向けイベント「もしもしにっぽんフェスティバル」への出展や、都内のドラッグストア店内で買物中の訪日ゲストへのインタビュー調査など様々な調査にチャレンジしました。
例えば、昨年実施したドラッグストア店内での調査では、20〜40歳の中国人女性だけをターゲットに購入商品の全品調査と購買動機を徹底的にインタビューしました。その結果、店頭想起を動機とした「非計画購買」の多さが明らかになり、店頭でのプロモーションの重要性を確認することができました。
全ての調査データは参加企業で共有しており、今後、各社で有効に活用され、独自の施策につながれば幸いです。
第3期インバウンド研究会は、インバウンド購買がどのように起こるのか、そのメカニズムに迫ることをテーマに開催しています。まず、参加者が持っている知識と課題をもとに仮説を立て、その仮説の検証を進めていきます。検証の方法としては、近年無視できない存在となっているソーシャル・バイヤーを複数名招いての意見交換を行い、さらに、多くの訪日ゲストが訪れる浅草でイベント形式の街頭インタビューを行う予定です。
今 後 の 展 望
一般消費財市場の拡大に向けて
人口減少と少子高齢化が続く日本では、今後はさらに世帯数の減少も予測されています。私たちの業界においてはマーケット縮小が懸念されている中で、インバウンド市場の拡大は明るい話題です。
訪日ゲストを理解し、インバウンド市場を正しく把握することが、業界全体でインバウンド市場を育てていくための第一歩と考えています。
訪日ゲストの方々は、日本の店頭に並ぶたくさんの商品に出会って買物を楽しみ、自国に戻ってそれらを使い、「また欲しい!」と思ってくれます。日本の化粧品や日用品はそのくらい魅力があるのです。
「また欲しい!」の先には、次の日本への旅行を計画したり、自国の店頭やECで日本製品を購入したりすることもあるでしょう。インバウンド市場での購買をきっかけに、彼らの日常生活の中で必要な商品として浸透してほしいし、その可能性は十分にあると信じています。
今後は、インバウンドの先にあるアウトバウンドの調査や研究にも取り組んでいきたいと考えています。
- お問い合わせ先:
- 株式会社プラネット インバウンドチーム
Tel. 03-5962-0811
Mail : inbound@planet-van.co.jp