株式会社プラネット

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(左)総合システム部 課長 春名 洋至 様 (中)総合システム部 中本 貴雄 様 (右)総合システム部 坂本 優 様

プラネットのサービスをお使いいただいているユーザーに、企業戦略やサービスご利用状況をお聞きする「CLOSE UP USER」。
今回は、牛乳石鹼共進社株式会社の総合システム部の皆様に、基幹EDIや販売データなどの活用状況をうかがいました。
また、自社で開発された改正電子帳簿保存法(以下、電帳法)対応のためのシステムについて、開発の経緯などをお聞きしました。

受注の約97%がEDI経由 物流効率化のためASNを導入

 牛乳石鹼共進社株式会社は明治(1909)年に創業し、大阪市で石鹸製造を開始。昭和3(1928)年には「牛乳石鹼」の商標を取得し、ブランドを確立していきました。その後は時代とともに変わる消費者ニーズに応えてボディソープやヘアケア、スキンケア用品なども手がけ、今年3月には同社初のフェムテックブランド「&fem(アンドフェム)」を立ち上げるなど、商品ラインアップを広げています。
 プラネットのサービスは長年ご使用いただいている発注データや仕入データ、請求照合・鑑データ、販売データなどの基幹EDIに加え、昨年からはロジスティクスEDIの「出荷予定データ」の運用も開始。同社は「2024年問題」に象徴される物流課題の解消に取り組んでおり、プラネットがメーカーと開催する「ロジスティクスEDI推進会議」、公益財団法人流通経済研究所が主催する「サプライチェーン物流生産性研究会」のメンバーでもあります。
 「弊社の受注は約97%がプラネットのEDIを経由しており、業務が効率化できています。また、最近導入した出荷予定データはASN(事前出荷情報)としての機能を果たすもので、お得意先様の物流センターで効率化につながっているとお聞きしています。データ交換を通じて業界がより良い方向に向かっているのは、とても意義のあることだと思います。
 プラネットさんは日々、高い視座で業界の標準化に取り組まれており、業界の業務効率化につながっていると思います。特に昨今の物流危機とSDGs の取り組みでは、流通業全体の課題だと捉えて『ロジスティクスEDI』を推進し、物流業務のさらなる合理化に貢献されています。今では当たり前のことも、このような支えがあってのものだと深く感じています」(総合システム部 中本貴雄氏)

プラネットの「販売データ」を活用し 販売店検索システムを自社で構築

 卸売業が小売業に商品を販売した実績をメーカーに毎日送信する「販売データ」は、同社がウェブサイトでお客様向けに提供している販売店検索システムにも活用されています。販売店検索では、製品名やブランド名を入力もしくはプルダウンメニューから選択でき、検索結果画面には商品画像と、取り扱い小売店をマッピングした地図が表示されます(図1)。
 「『販売データ』を元に、いつ(出荷年月日)、どこから(出荷元コード)、どこへ(販売店コード)、何を(商品コード)、いくつ(数量)、いくらで(金額)納品されたかという実績をエクセル形式で見られる機能を開発しており、セールス部門が販売動向の分析などに日々役立てています。販売店検索は、地図を表示する機能など一部を外部ベンダーに頼っていますが、基本となるデータベースはプラネットさんから提供される販売データをデータベース化して、自社で構築しています。今期で見ると月平均約5000件のアクセスがあります。弊社のプロモーションがネットに移行していることもあり、興味を持たれた商品の取り扱い店をその場で調べていただけることで広告効果を高められていると感じています」(総合システム部課長春名洋至氏)


プラネットの案内も参考に独自の電帳法対応システムを開発

 電帳法の改正により、2024年1月からはEDIなどの電子取引データを紙ではなく電子データで保存することが義務づけられています。プラネットも改正法施行に先立ち、ユーザーの皆様向けに専門家を招いたセミナーを開催したり、本誌で取り上げたりして対応法の周知に努めてきました。改正法と国税庁から発表された関連文書では、保存すべき電子データの形式が見読可能であるとともに、検索機能の確保や改ざん防止のための措置などが事業者に求められています。
 データを適切に保存するために、汎用の文書管理システムを導入したり、外部ベンダーに開発を依頼したりする選択肢もあるなかで、牛乳石鹼共進社は自社で専用システムを開発しました。
 「もともと弊社は販売管理システムを自社で構築しており、電子データ保存のための仕組みも一つの機能として組み込んだほうが効率的であり、内製化は自然な流れでした。
 EDIでは文字の羅列からなるデータと、トランスレーターにより自社固有のフォーマットに変換したデータの2種類が発生し、国税庁の資料では後者を保存するほうが望ましいとされています。そのため開発したシステムでは、一応前者も残した上で、後者を保存する方式にしました。タイムスタンプは付与していませんが、データベースに書き込まれた時点で履歴が残り、いつ更新されたかが分かる仕組みになっています。
 税務調査に備えて、取引年月日、取引先、金額など所定のお得意先様でデータを検索できるようにしておく必要があるため、それが可能な照会画面(次ページ図3)を設けました。データ種も含め、複数の項目を指定して検索ができる仕様にしています。たとえば特定のお得意先様からの発注データだけを検索したり、取引年月日をFrom~Toで区切って絞り込んだりできます。
 この機能は総合システム部内でしか公開しておらず、業務や経理の担当者が利用することは基本的に想定していません。また、改ざんを防ぐためにデータベースの編集はどの ユーザーにもできないようになっています。データが常に更新されているかのチェックも行っており、税務調査の際にはご使用いただきやすい設計にしています。
 保存期間は原則7年、最長10 年ですので、10年分のデータが照会できるようにしています。ただし10年経ったデータもテープ媒体で保管します」(中本氏)
 システム完成までの経緯や、開発で特に注意した点についてもお聞きしました。 「電帳法の改正はニュースで知ったのですが、その後プラネットさんからの案内などもあり、対応が必須ということでしたので、社内で検討に入りました。
 この改正で受注業務をしているメンバーの業務が変わることはなく、システム部内でとどめられると分かりましたので、基本的に私と上司の2人で開発を進めました。改正法の施行日から逆算して期間を1年と設定し、他の業務と並行しながら開発を行い、最初の半年で情報収集と設計、あとの半年でプログラミングとテストを行いました。
 上流部分の工程を誤ると開発をしても間違ったものができてしまいますので、最初の情報収集には特に時間を割きました。国税庁の資料などを読み込み、保存すべきデータの形式や照会画面にはどのような検索項目が必要かといった点について情報を集め、弊社のシステムに落とし込むにはどうすればよいか検討しました」(中本氏)


コスト・納期・知識の蓄積など 内製化のメリットは多数

 システム開発を内製化することのメリットについてもお聞きしました。
 「メリットはいくつかありますが、まずは費用面です。外部ベンダーに発注すると初期費用に加え、『もっとここをこうしたい』といった追加案件が発生したり、改修が必要になったりするたびに費用が増えていきます。また、社内で進めるほうが迅速な対応が可能になるので納期も早くなります。
 さらに今回は、開発に携わるメンバーが資料などをよく読んで電帳法を理解しているので、社内に知識を蓄積できるという意義もあります」(中本氏)
 「販売管理システムにしても、セールス担当から『商品カテゴリーが変わったので、こう変えてほしい』『数字の表示方法をこうしてほしい』という要望が出た場合に、外部のシステムを使っていたらその都度システム担当者が間に入ってやり取りをする必要が生じます。
 電帳法のケースでも、社内の担当者に制度への理解があれば、最低限必要な機能だけを備えたシステムを開発してコストを抑えることができます。
 また、仮に法律が再度改正されて改修が必要になったとしても、自社で対応できます」(春名氏)

自社での人材育成を重視し 社内のニーズに合ったシステムを開発

 中本さんは現在、入社7年目。今年の4月には坂本優さんが新たに総合システム部に配属されました。お二人とも大学ではシステム開発が専攻ではなかったそうです。人材採用や育成の方針など、総合システム部の体制づくりについてもお話をうかがいました。
 「大学時代に専攻でシステムをしっかり勉強していたわけではなく、趣味で少しかじった程度で、ほとんどの知識は入社してから身につけました。
  内製化のデメリットをあえて挙げるとすれば属人化でしょうか。販売管理システムは私がほぼ一人で担当していますし、電帳法対応のシステム開発も前述のように私と上司の2人で行いました。
 もっと大きなシステム部がある企業やIT企業であれば、設計部門、開発部門、テスト部門が別々にあるかもしれません。しかし、弊社は総合システム部内でも開発ができる人員が限られており、上流の工程からリリースまで同じ担当者が一元で行っています。今は後輩もいますが、例えば担当者が病気などで休まなければならなくなったときにどう対応するかは課題と言えます」(中本氏)
 「私も大学ではシステムのことを学んでいませんでしたが、自身で希望して総合システム部に配属されました。入社後、先輩方から話を聞くなかでいかに会社にとって必要不可欠な部署であるかを実感しています」(総合システム部坂本優氏)
 「専門学校などでシステム開発を勉強した人を採用する選択肢もあると思いますが、入社してからの学びのほうがより重要だと考えています。中本も数年かけて上司から育てられました。今度は中本が坂本を後継として教育していく必要があります。弊社は『業務をシステムに合わせる』のではなく『システムを業務に合わせる』という考え方で、社内の要望を聞きながら使い勝手のよいシステムを作ることには苦労もありますが、内製化のメリットは大きいため、今後も続けていくつもりです」(春名氏)


牛乳石鹼初のフェムテックブランド「&fem(アンドフェム)」

 「&fem」は今年立ち上げられたばかりの、牛乳石鹼共進社初のフェムテックブランドです。「フェムテック」とはFemale(女性)とTechnology(技術)を合わせた造語で、女性特有の健康課題を技術で解消する商品やサービスを指します。
 3月に発売された2商品は、デリケートゾーンの気になるニオイを軽減するアロマティックブルームの香りを使用しています。発売後は、SNSなどで大きな反響を呼び、1年間の計画で想定していた販売数量を約3カ月で達成しました。今秋には泡ソープの詰替え用も発売される予定です。
 購入者アンケートでは「デリケートゾーンケア商品は海外や知らないメーカーの商品が多かったが、牛乳石鹼なら安心感がある」といった声が寄せられ、約9割が再購入意向を示しました。

・アンドフェムフェムケア泡ソープ〈アロマティックブルームの香り〉 150mL(左)
・アンドフェムフェムケア美白ジェル〈アロマティックブルームの香り〉30g(右)



企業名
牛乳石鹼共進社株式会社
設 立
1909年
本社所在地
大阪市城東区今福西2丁目4番7号
代表者
宮崎 悌二
事業内容
化粧石鹸、化粧品、製造販売
ホームページ
https://www.cow-soap.co.jp/

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