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意識調査 Fromプラネット

2024.07.24

暮らし

Vol.222 キャッシュレスに関する意識調査

キャッシュレスの主役はクレカ? QRコード?
~若年層は意外に “現金派”、キャッシュレスの “困りごと” は?~

 国内1,500社超が利用する日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (所在地:東京都港区、代表取締役社長:坂田政一) は消費財や暮らしにまつわるトピックスをお届けする 『Fromプラネット』 の第222号として、キャッシュレスに関する意識調査の結果をご紹介します。未掲載のデータ提供や当社担当者が解説を差し上げることもできますので、お気軽にお問い合わせください。
※回答率(%)は小数点第2位以下を四捨五入し同第1位までを表示しています。そのため、内訳の合計と表示値が異なる場合があります。
バックナンバー https://www.planet-van.co.jp/news/from_planet.html

6割超が “5,000円以上” 持ち歩く

 コロナ禍をきっかけに普及が加速したキャッシュレス決済ですが、今や買い物の会計時にスマホやカードを機械にかざす様子は日常の光景になっています。こうしたなか、7月には20年ぶりに新紙幣が発行されました。このタイミングを受け、今回はキャッシュレス決済や新紙幣について、いろいろとたずねてみました。
 まずは普段、現金をいくらくらい持ち歩いているかを聞いた結果が図表1です。28.9%と最も多かったのは「1万円~3万円未満」で、これに「5,000円~1万円未満」が23.0%で続きました。「3万円以上」も合計11.7%であることから、6割超の人が外出時に5,000円以上の現金を持ち歩いていることがわかりました。片や「5,000円未満」という人は合計24.6%、さらに、完全キャッシュレスということなのか、同行者が支払うからなのか、「現金は持ち歩かない」も2.2%と少数ながらいました。


表1

キャッシュレスが進んでも根強い現金利用

 かつては買い物時の決済手段は現金とキャッシュカードのほぼ二択だったのが、近年は交通系や流通系の電子マネーからQRコード決済まで、多様なサービスが登場。獲得ポイントなども勘案しながら「どの支払い手段がベストか…」と、会計のたびに考える人も多いのではないでしょうか。そこで、直近1カ月間でお店での買い物の際に利用した支払い方法をたずねてみたところ(図表2)、72.8%と最多だったのは「現金」。これが多いか少ないかは意見が分かれそうですが、キャッシュレス決済非対応の店での買い物など、“現金は不可欠” なシーンもまだまだありますね。これに8.3ポイント差の64.5%で「クレジットカード」が続きました。3位は普及めざましい「QRコード決済」51.6%が、4位の「電子マネーのカード」に16.8ポイントの大差でランクイン。電子マネーやクレジットカードなどの「スマホアプリでの決済」は、いずれも1割以下どまりに。カード情報をスマホに登録することに抵抗感があるのか、カードで十分ということなのか、興味あるところです。年代別では、「現金」が最も高いのは77.1%の50代、20・40代も全体値を上回る一方で、67.6%と最低なのが70代以上というのは少し意外な気もします。「クレジットカード」は60代以上で7割前後と高値を示し、特に70代以上では「現金」を上回りました。「QRコード決済」は50代を頂点にそれ以下の年代では全体値を上回りますが、70代以上では36.5%にとどまりました。「電子マネーのカード」は比較的年代差が少ないですが、20・30代では20%台に。「QRコード決済」と同様に、電子マネーなどの「スマホアプリ」は若年層ほど高くなりました。


表2

若年層は意外に “現金志向”?

 店舗での買い物時に、支払い金額ごとで主にどの決済手段を使うか、図表2で利用率が高かった4種類(カードとスマホ決済の合計)についてまとめたのが図表3です。全体では、“500円未満”の少額だと38.7%が「現金」を使いますが、“500円~1,000円未満” では「QRコード決済」が僅差で首位になり、“1,000円以上” では「クレジットカード」がトップに入れ替わりました。「クレジットカード」の使用率は金額が上がるにつれて上昇し、“5万円以上” では7割超に。一方で「QRコード決済」は “3,000円未満” で3割前後なのが、支払額が増えるほどに比率が低下し、“3万円以上” では1ケタ台に。「電子マネー」も同様の傾向がみられ、チャージが必要なこれらの決済手段は比較的低額な支払いの際に使われていることがわかりました。その点「現金」は、“5万円~10万円未満” で16.7%まで下がりながら “10万円以上” では17.2%に再浮上しており、高額の支払いでも安定的に使われるのは安心感からでしょうか。
 年代別にみると、20代で “3,000円未満” まで「現金」が優勢というのは少し意外な気もします。それ以上の額では「クレジットカード」に首位が交代しますが、その比率は他の年代に比べて低位となりました。40代では “3,000円未満” は「QRコード」決済、それ以上は「クレジットカード」がトップに。20代に比べて現金比率が低下する分、他の決済手段に分散している印象です。60代では首位の変遷は全体と同様の結果となり、「クレジットカード」が各支払額で20・40代より高くなりました。世帯年収別では、“1,000円以上” は各支払額で「クレジットカード」が首位になりますが、それ未満では年収300万円台は「現金」、600万・900万円台では「QRコード決済」がトップに。“5万円以上” の支払いでは「クレジットカード」は世帯年収300万円台で7割弱なのが、同600万・900万円台では8割超になるほか、“500円未満”の少額決済でも2割近くと、世帯年収が上がるほどクレジットカードが日常的に使われているようです。


表3

チャージ額は控えめ傾向

 QRコード決済や電子マネーでは、クレジットカードや銀行口座との紐づけやコンビニなどでの店頭入金によりチャージする必要がありますが、1回当たりいくらチャージしているのでしょうか(図表4)。30.8%と最多は「決まっていない」に。残高を一定額にキープするため、使った分をチャージする、という使い方をしているのでしょうか。具体的な金額では「5,001円~1万円」19.6%に続き、「1,001円~3,000円」15.8%、「3,001円~5,000円」13.7%となりました。「1万円超」が計14.6%にとどまるのは、“使い過ぎ” を警戒して、ということもありそうです。年代が上がるほど1回当たりのチャージ額が増える傾向もみられました。


表4

キャッシュレスの困りごとは “うっかりミス” 起因

 キャッシュレス決済は手軽で便利ですが、時として困ったことやトラブルに見舞われることもあります。そこで、こうした経験の有無をたずねた結果が図表5です。43.3%が「困ったことやトラブルの経験はない」としたなか、具体的な経験としては「使おうと思ったサービスが非対応だった」と「チャージ残高やポイント数が支払額に足りなかった」という “うっかりミス” がともに2割強となりました。この2つは “いざ会計” という時に気づくと焦りますよね。「通信・システム障害で支払いができなかった」16.2%、「Wi-Fiから電話回線に切り替えるためもたついた」15.2%と、通信やシステムに関するものが3・4位にランクインしました。ポイント獲得のために、会計の際にカードやアプリを提示するものが多いときに発生しがちな「アプリやカードの準備が間に合わずもたついた」という人も13.9%いました。
 性年代別では、男性20代と男女70代以上では「経験はない」が過半数に。男女とも若年層では通信・システム障害に見舞われた人が多いようです。女性は若年層を中心に各項目2割前後とやや高い傾向が。70代以上では男女とも低位でした。


表5

新紙幣発行の認知度は8割だが…

 7月3日に1,000円・5,000円・1万円の紙幣が20年ぶりに刷新されました。5月末~6月初旬に行った本調査では、発行が半月後に迫った新紙幣についても、いくつか質問をしてみました(図表6)。
 新紙幣発行を知っているかについては、「知っているが、関心はない」66.9%が最多と、多くの人がクールに捉えていました。「知らなかったし、関心もない」と「知っていて、楽しみ」という正反対の反応が各14.8%・13.0%と拮抗しているのも興味深いところです。これを「知っている」と「楽しみ」の切り口でみてみると、ほぼ8割の人が新紙幣発行を「知っている」としながら、「楽しみ」は2割に満たない結果に。さらに年代別にみると、「知っている」は40代以下で7割程度なのが、50代以上では8割強、70代以上では9割に迫り、高年代のほうが認知度が高くなりました。「楽しみ」とした人は、20代が27.8%と突出して高値なのが目を引きます。前回の新紙幣発行時は幼少期だったので記憶があまりなく、実質的な “初の新紙幣” を心待ちにしていたのかもしれませんね。
 キャッシュレス化が進展した状況での新紙幣発行が現金の使用頻度に影響を与えるかについては、83.8%が「変わらない」と回答。“最初は使ってはみるものの…” という「最初は増えるが、元に戻る」7.0%と合わせると9割が変化しないと回答。「増える」は2.3%に過ぎず、キャッシュレス化がさらに進むと考えてか「減る」は6.9%となりました。
 次の新紙幣の“顔”に採用されてほしい人についても聞いてみました(図表非掲示)。232票と最も支持を集めたのは、1986年まで5,000円と1万円札の肖像に採用されていた「聖徳太子」。当時を知る50代以上を中心に “お札の顔と言えば…” と復活を望む声が多いようです。2位は根強い人気を持つ幕末の志士「坂本龍馬」187票、3位は大リーグで大活躍中の「大谷翔平」が172票を集めました。女性の “顔” としては、「卑弥呼」40票と「紫式部」38票が僅差で並びました。


表6

キャッシュレス時代の新紙幣発行

 最後に、キャッシュレス決済や新紙幣などについて自由回答で教えてもらいました。年代を問わずキャッシュレスが浸透している一方で、使い過ぎや安全性への懸念から現金回帰や使い分けをしている人も一定数いるようです。キャッシュレス化が進展するなかでの新紙幣発行については懐疑的な意見や初期の混乱を懸念する人もいますが、楽しみなど歓迎する声も寄せられました。徐々に浸透し、新紙幣も日常の光景になっていくのでしょう。

《 キャッシュレス決済について思うこと、利用の工夫、新紙幣について思うことなど 》

【キャッシュレス派? 現金派?】
● キャッシュレス決済だと子どもから目を離す時間が短くて済む。ATMで現金を下ろす回数も減るので、その際の子どもの逃亡も防げる。
(女性30代)
● キャッシュレス決済だと家計簿アプリに記録するときに自動でデータ取り込みが出来るので便利。(男性40代)
● キャッシュレスが便利すぎて現金を持ち歩かなくなり、非対応の店で手持ちの現金が無く棚に商品を返したことがあります。(女性50代)
● 現金を触ることに抵抗があるので、キャッシュレス決済ができることが望ましいと思う。(女性60代)
● 指に病気があり、お財布から細かいお金を出すのに苦労していたから、キャッシュレス決済でずいぶんと楽になった。ポイントがたまるのも◎。ちょっと怖いのは「悪用」だけ。(女性70代以上)
● 昔から現金中心に買い物をしており、キャッシュレス決済はネット通販での買い物や現金の使えないセルフレジでしか使っていない。キャッシュレスだとトラブルの心配があるため使うのを躊躇っている。(女性20代)
● キャッシュレス決済は使いすぎてしまう(管理ができなくなる)ので、時代と逆行して現金化しています。払う側ももらう側も機械なので使用できない事態があると不便だし、スマホを紛失した場合を考えると怖くて現金になってしまう。(女性40代)
● 現金払いが一番面倒でないと今は実感。ポイント付与でアプリを開き、支払いでまた違うアプリを開き、後ろで待っている人のことを気にしてしまって焦り…。ポイントがつかないなら絶対現金払いが一番。(女性60代)
【使い分けや、キャッシュレスへの不安も】
● 現金、キャッシュレスのそれぞれ使う日を分け、計画的に使っています。(男性20代)
● この先の災害の為に手持ちの現金は(銀行でなく)必ず用意しておいた方がいいと思うので、全てをキャッシュレスに頼らず半々程になる様にしています。(女性40代)
● ポイントが貯まるし便利なのでキャッシュレスにしているが、不正利用、システムトラブル等が怖い。紙幣しかなかった頃に戻りたい。(女性60代)
● キャッシュレス決済は便利だが、やはり個人情報の漏洩が心配である。(男性60代)
【20年ぶりの新紙幣発行、どう思う?】
● キャッシュレスを推進しているのに、なぜ紙幣を発行するのか疑問。(男性50代)
● 新紙幣には世界的にも新しい技術を使われているとは聞いているが、キャッシュレスが普及していて、その技術が霞んでいるのが悲しい。
(男性40代)
● ATMが(新紙幣に)対応できるか心配。自販機でも使えないものが出てくるだろうし、現に新500円が自動販売機で使えないことが多いので不便だ。(男性50代)
● 紙幣の顔として馴染みのある聖徳太子を、偽造防止技術を取り入れて復活させるのもよいと思う。(男性60代)
● 生まれてこの方1万円は福沢諭吉だったし、1万円が「諭吉」と呼ばれるくらいなので、新紙幣になったときにどう呼ばれるようになるのかが気になります。(女性30代)
● お祝いとして使用する新札(千円・五千円・一万円札)をストックしているので、新紙幣で準備するのが楽しみである。(男性70代以上)
● 新紙幣で気分が変わり、不景気ムードが和らぐように期待しています。(男性60代)

調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「キャッシュレス」に関する意識調査を実施。
期間:2024年5月29日~6月3日、インターネットで4,000人から回答を得ています。


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メーカー、卸売業、小売業がサプライチェーンとして連携し、生活者へのサービス向上を目指して進化を続ける日本の消費財流通を、情報インフラ運営で支えている上場企業(証券コード2391)です。
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