2022.05.10
暮らし
Vol.180 和室・畳に関する意識調査
畳が大好き、日本人!
~7割が「理想の家には和室や畳が欲しい」~
国内1,400社超が利用する日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (所在地:東京都港区、代表取締役社長:田上正勝)は消費財や暮らしにまつわるトピックスをお届けする 『Fromプラネット』 の第180号として、和室・畳に関する意識調査の結果をご紹介します。未掲載データや解説もご提供できますのでお気軽にお問い合わせください。
バックナンバー https://www.planet-van.co.jp/news/from_planet.html
「家に畳がある」全年代で半数超え
コロナ禍により、帰省がしにくい状況が続いていますが、「夏休み、おばあちゃんの家の広間に寝転んで、みんなで昼寝をしたな」なんて思い出はありませんか? 今回は、和室や畳について調査を行いました。
まず、「現在、畳のある家に住んでいますか」と聞いたところ(図表1)、全体では70.8%が「はい」と回答し、「いいえ」は3割を下回りました。
性年代別で見ても、どの年代も、半数以上が「はい」となっていますが、その割合は年代が若いほど低い傾向になっています。
「はい」と答えた割合は男性では「20代」が最も低く(51.6%)、最も高い「70代以上」(83.2%)と比べると、30ポイント以上の差があります。
男性と比べると、女性のほうが年代差はわずかに小さいですが、最も低い「30代」(54.4%)と、最も高い「60代」(80.2%)とで、25.8ポイントの開きがあります。
「30代」、「70代以上」を除くと、女性のほうが「はい」と答えた割合が高いですが、男女差はあまり大きくなく(一番差がある「20代」でも6.3ポイント)、それ以上に、年代による差が大きいという結果です。
7割弱が「家に和室が欲しい」
次に「理想の家に住めるとしたら、和室・畳のある部屋が欲しいですか」と聞いたところ(図表2)、「欲しい」(38.4%)、「やや欲しい」(30.7%)、「あまり欲しくない」(19.5%)、「欲しくない」(11.5%)という順になりました。
「欲しい」と回答した人の割合、「欲しい」と「やや欲しい」の合計ともに、年代が上がるほど高い傾向がありますが、現在住んでいる家についての質問(図表1)と比べて、男女の差も大きくなっています。
「欲しい」と「やや欲しい」の合計で比べると、「20代」は7.1ポイント(男性:57.4%、女性:64.5%)、「30代」は8.9ポイント(男性:68.4%、女性:59.5%)の差がありますが、「70代以上」は(男性:83.5%、女性:71.2%)と10ポイント以上の差がついています。
和室「1部屋あればいい」が最多
理想の家に住めるとしたら和室・畳のある部屋が「欲しい」「やや欲しい」と回答した人を対象に、畳敷きの部屋がどれくらい欲しいかを聞いたところ(図表3)、どの年代でも、最も多いのが「1部屋あればいい」(全体で64.3%)という回答でした。
この項目でも、年代差よりも男女での差が目立っています。男性は、「可能な部屋はすべて畳敷きにしたい」「数部屋あればいい」の合計がどの年代でも30%を超えています。一方、女性で30%を超えるのは「20代」(合計31.6%)のみで、ほかの年代は20%前後です。
また、「部屋をすべて畳にしなくても、畳のある空間(畳コーナーなど)があればいい」と回答した人は全体では8.2%と1割未満ですが、「男性・20代」(13.5%)、「女性・30代」(15.9%)、「女性・40代」(13.6%)では、ほかの年代より高くなっています。最近では、いわゆる琉球畳(半畳サイズで、縁のない置き畳)に注目している人が増えているようです。まだ実際に家に導入している人は少ないようですが、普及が進めば、部屋の使い方にも変化が生まれそうです。
男性が畳を好きなのは生活習慣の影響?
これまでの質問からすると、和室や畳のある部屋に対する思いは、男女間で温度差があるようです。ほかの質問や、のちほど紹介する自由回答から類推すると、生活習慣の違いがその差を生んでいる可能性があります。たとえば、「あなたは掃除をこまめにするタイプですか」という質問(図表4)について、全体では「はい」が44.7%、「いいえ」が55.3%と、ほぼ半々でした。ところが、男性は年代が高いほど、「はい」と回答した割合が低くなる傾向にあり、最も低い「60代」は34.5%と、ほぼ3人に1人程度まで減少します。「畳よりフローリングのほうが掃除しやすい」と感じている人にとっては、こまめに掃除するほど、「畳じゃなくてもいいな」と考えるのかもしれません。
また、「家で過ごすとき、椅子や座椅子ではなく床に直接座ることはありますか」という質問では、若い年代の女性では「はい」の割合が高いのですが、「60代」「70代以上」では急激にその割合が下がります。加齢による身体の変化により、生活をする上で不便を感じることがあれば、和室が好きであっても、意識にも変化が生じそうです。
畳の掃除やメンテナンスについては女性のほうが敏感
理想の家に和室や畳のある部屋が欲しいと答えた人、欲しくないと答えた人に、それぞれ理由を聞きました(図表6)。
欲しいと回答した理由では「寝転がるときに抵抗がないから」(45.1%)、「畳のにおいが好きだから」(33.9%)、「畳自体が好きだから」(32.4%)といった項目が上位に並んでいます。
「洋室と比較して和室がいい」と考える以上に、和室や畳のよさ自体が気に入っている人は多いようです。
一方、欲しくないと回答した理由では、「畳や障子の掃除・メンテナンスが大変だから」(41.7%)が最も多くなっています。
欲しい理由については、それぞれの項目であまり男女差がなかったのですが、欲しくない理由については、女性が10ポイント以上高い項目が複数あります。「畳や障子の掃除・メンテナンスが大変だから」(14.3ポイント差)、「定期的に畳を張り替えないといけないから」(12.4ポイント差)、「ダニなどの虫がつくから」(10.2ポイント差)、「畳は日焼けするから」(12.8ポイント差)など、男女差が大きい項目を見ると、掃除についての意識や、畳をきれいな状態で保つことについて、男女の間で大きな意識の違いがあるようです。
やっぱり和室にはこたつが欠かせない?
次に、和室にどのようなイメージを抱いているかを聞きました(図表7)。最も多くの人が「とても当てはまる」「当てはまる」と回答したのが「日本」(87.4%)というイメージです。
50%を超えている回答は、ほかに「くつろげる」(68.2%)、「いい匂い」(61.9%)、「渋い」(51.3%)となっています。
また、「夏が過ごしやすい」(41.1%)と比べると、「冬が過ごしやすい」(31.1%)と回答した人の割合は低いです。
和室の暖房設備として一番欲しいものを聞いた質問(図表8)においては、エアコン(25.9%)以上に、「こたつ(座布団や座椅子と一緒に使うもの)」(29.4%)と回答した人が多いです。
部屋全体を温めるエアコンのほうが便利そうに思えますが、こたつが欲しいという人がこれだけ多いのは、和室とこたつをセットで捉えている人が多いということの表れかもしれません。
切っても切り離せない日本人と和室・畳
「こんな和室が欲しい、こんな畳が欲しいというアイデアや、畳にまつわる思い出、あるいは和室のある家に住みたくない理由など、畳・和室に関する思い、エピソードを教えてください」と自由回答で聞きました。
現実には畳のある部屋に住んでいなくても、畳が恋しくなる若者の声や、膝を悪くして、畳での生活が不便になったものの、それでも和室が恋しいという声など、畳や和室に対する日本人の強い愛着を感じます。生活習慣が西洋化したといっても、日本人と和室や畳は、まだまだ切っても切り離せない関係が続きそうです。
《 和室や畳に関する思い出、エピソードなど 》
- 【若い世代も畳が好き】
- ● 実家に帰省すると縁側と畳のある家が欲しくなる。(男性・20代)
- ● 夏になると畳敷きの部屋で、裸足で生活したくなる。(女性・20代)
- ● 畳の香りや雰囲気、居心地の良さが好きなので、中古で畳のある家を買って、引っ越したい。(女性・20代)
- ● 畳以外の床にカーペットなしで直接座るのは抵抗があるが、畳だと寝転がるのも抵抗なくできる。(女性・20代)
- 【匂いが好きだから定期的に交換したい】
- ● 畳を定期的に入れ替えてくれる業者が欲しい。(男性・50代)
- ● 畳の入れ替えサブスクサービスができれば利用したい。(女性・50代)
- ● 畳は新しいほうがいい匂いがするので、定期的に表を交換するサブスクが欲しい。(男性・60代)
- ● 畳の匂いが好きなので定期的に入れ替えてくれるサブスクリプションサービスがあればいい。(女性・40代)
- 【畳から感じるノスタルジー】
- ● 良く晴れた日に、母が畳のふき掃除をしていた思い出がある。(女性・50代)
- ● 昔住んでいた家では、畳が傷むと、ガムテープで補修して座布団で隠していた。歩くとベコベコへこむのでそっと歩いていた。そんな家が恥ずかしかったが、今は懐かしい。(女性・30代)
- ● 田舎にある、今は亡き祖父母の家の奥の間が、続き部屋で20畳くらいの大きな畳部屋だった。周りに民家も無く、子供の頃、夏休みにその静かな大広間で、網戸からの涼しい穏やかな風を受けながら昼寝をした。(女性・40代)
- ● 子どもの頃は、ずっと和室で過ごしたので、和室だと落ち着く感じがする。今の住まいにも和室はあるが、家族で集うことがなくなったので、もう一度和室に家族で集う機会ができると嬉しい。(男性・40代)
- ● 子供の頃、畳替えのとき、庭で畳職人さんが分厚い畳に大きな針を突き刺し縫っているのを飽きずに見ていた。今ではまったく見ることがなくなったけど、畳という文化を守りたいですね。(女性・60代)
- ● 子供の頃、畳の部屋で昼寝をしたあと、遊びに行ったら、友だちに笑われた。うつぶせで寝ていたので、畳の跡がほっぺたにくっきり。懐かしいのどかな思い出。(女性・70代以上)
- 【膝が痛いと畳は厳しいけれど】
- ● 膝が痛くなるので、生活をするには洋式が良いのだが、日本で生まれ育ったからには、せめて1部屋でも畳のある部屋があってほしい。足がしびれてしまうだろうけど、家族がそろって過ごすには和室が和む。(女性・60代)
- ● 子供の頃は和室に住んでいたし、冬場の炬燵なんか最高だった。病気で正座ができなくなってから椅子に座る生活になったら、逆に和室が苦手になった。それでも畳はなんか好きなんですけどね(女性・50代)
- 【カビや湿気、日焼けは気になる】
- ● 畳は幼い頃は気にしてもいなかったが、自立してアパートを借りて初めて、畳が焼けない様に気を付けたり、掃除が厄介だったりすることに気づいた。ちょうど、その頃、ハウスダストアレルギーであることもわかり、畳の部屋の家に住むのはやめた。(女性・50代)
- ● 抗菌畳が欲しい。子供の布団の下の湿気、カビに悩んでいる。(女性・40代)
- ● どんなに毎日掃除をきちんとしていても、畳がカビたり虫が増殖したり、焼けて変色したり、キレイになった感じがしない。時が経てば畳を交換する必要もあり、コストがかかる。(女性・40代)
調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「和室・畳」に関する意識調査を実施。
期間:2022年3月28日~31日、インターネットで4,000人から回答を得ています。
- ■株式会社プラネットとは https://www.planet-van.co.jp/
- メーカー、卸売業、小売業がサプライチェーンとして連携し、生活者へのサービス向上を目指して進化を続ける日本の消費財流通を、情報インフラ運営で支えている上場企業(証券コード2391)です。
- ■ From プラネットとは https://www.planet-van.co.jp/shiru/from_planet/index.html
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