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「電子帳簿保存法改正Webセミナー」を開催

電子帳簿保存法に関するEDI取引データ保存対応について

株式会社プラネット
ネットワーク推進本部 企画開発部 アシスタントマネージャー
橘 正剛

「帳簿」と「書類」の違いに注意 データは各社で保存を

 EDI取引データの保存方法について、まずは基幹EDIの対応から説明する。
 弊社と皆様の会社の接続環境を図1にまとめると、プラネットから通信ソフトを経由して受信されたデータは、トランスレーターで文字コードやフォーマットが変換され、各社の販売・仕入管理システムに取り込まれている。この中でどのデータを保存すればよいかがポイントになる。まず注意すべきは「帳簿」と「書類」の違いだ。販売・仕入管理システムで保存されているデータは、帳簿データにあたる。EDIだけでなくFAXによる注文書、郵送の請求書、電話で受けた注文なども販売・仕入管理システムに登録されていると思われるが、このシステムの中で生成されている売上帳や仕入帳は、基本的に帳簿データだ。この帳簿データも保存する必要があるが、一方、取引先との取引情報の交換のために作成する書類(電子取引データ)も保存しなくてはならない。
 ここで問題になるのが、どの時点のデータを保存すればよいかだ。図1のように電子取引データには三つの候補があるが、国税庁の「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」を見ると、「保存すべきデータは、暗号化されたデータではなく、トランスレーターと呼ばれる汎用ソフトウェアにより、各企業のシステムに適合する固有のフォーマットのデータに変換したもの」とある。また、同じく国税庁の「電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)」には、「文字の羅列で保存していたとしても、自社固有のフォーマットに変換するなどして、明瞭な状態で確認できれば要件を満たす」と書かれている。これを踏まえると、受信情報はトランスレーターの変換後、送信情報は変換前のデータを各社で保存していただくのが最もよいと思われる。一方、そのままのEDIデータは「文字の羅列」にあたり、これを保存する場合はマスター情報を含めて保存が必要になり、出力を求められた際は読める状態にする必要がある。
 なお、プラネットと各企業の間のデータは「暗号化されたデータ」にあたる。皆様からは、プラネットを通過するデータも保存してほしいという声をいただいており、調査・検討していくが、現状では各社で送受信したデータの保存をお願いしたい。
 データの保存においては電帳法の保存要件に従う必要があり、日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証を受けているシステムを利用すれば間違いなく要件を満たせる。一例を挙げると、インテックが提供している電子帳票システム「快速サーチャーGX」は既にスキャナ保存のJIIMA認証を取得しており、今後、電子取引データの保存や帳簿データの保存にも対応する総合的な文書管理システムになる予定だ。


図1

Web発注履歴のダウンロード期限は60日

 続いて、Web発注の対応について説明する。
 Web発注は、卸売業で入力した発注情報を弊社が受け取り、EDIデータに変換してメーカーへ渡すサービスだ。Web画面で入力いただいたデータは発注履歴として60日間保存しており、ダウンロードできるので、これを保存していただきたい。
 保存要件はEDIと同じだが、ここでは保存システムを導入しない簡易的な対応を紹介したい。たとえば、エクセルなどの表計算ソフトにより、取引データにかかる「取引年月日その他の日付」「取引金額」「取引先」の情報を入力して一覧表を作成するパターン(図2)と、当該取引データのファイル名を「取引年月日その他の日付」「取引金額」「取引先」を含み、統一した順序で入力して、検索条件として設定できるようにするパターン(図3)がある。いずれもデータ改ざんや誤入力の懸念があるため、訂正削除を防止する事務処理規程を用意して正しく運用する必要がある。事務処理規程のサンプルが国税庁のホームページに出ているので、それを自社に合わせてカスタマイズして作成できる。


図2

図3

改正法の施行まで残された時間はわずか

 基幹EDIとWeb発注の対応について説明してきたが、まとめると図4のようになる。いずれも、まず帳簿データを正しく保存する必要がある。電子取引データについては、トランスレーター変換後の受信データ、変換前の送信データをJIIMA認証のソフトなどで保存するのが最も理想的だ。そのままのデータで保存する場合は、読める状態で出力できるようにする必要がある。Web発注については発注履歴ダウンロード機能があるので、定期的にダウンロードしていただき、エクセルなどで保存、または発注書の控えPDFのファイル名を編集して保存する方法がある。法施行まで残り時間がわずかとなり、コロナ禍で簡単にいかないとは思われるが、できるところから始めていただき、引き続きEDIサービスをご利用いただきたい。


図4