基幹EDI
EDI活用で受注量の増加にもスムーズに対応
- 日本サニパック株式会社
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専務取締役
宇津 善行さん営業部長
佐藤 勉さん
東京都渋谷区幡ヶ谷1丁目25番5号
http://www.sanipak.co.jp/
(PLANETvanvan 2012年秋号(Vol.96) 掲載記事より)※役職等は取材当時のものです。
ゴミ袋製造・販売業界をリードする日本サニパック株式会社では、2001年よりプラネットのEDIサービスを導入し、業務の効率化を図ってきた。今回、EDI導入の経緯や活用状況、さらに同社が進めるBCPへの取り組みについてお話をうかがった。
取引先からの接続依頼を契機にEDI化を促進
日本サニパック株式会社は、1970年の創業以来、一貫してゴミ袋の製造・販売を行っており、現在、家庭用から業務用、自治体指定ゴミ袋まで、800種類近くの商品アイテムを展開している。早い時期からインドネシアに専用の自社工場を持ち、シンガポールの支店を経由して日本で販売するというビジネスモデルを確立。高品質で低価格な商品の安定供給を実現し、業界内で確固たる地位を築いてきた。
同じゴミ袋でも家庭用と業務用では販売ルートが異なり、業務用の卸先は各地域の小規模な企業が多く、ファックスでの受注が主流だが、日用品を扱う卸売業が主な取引先となる家庭用に関しては、90年代半ばにいくつかの量販店との間で、EOSによる直接取引を始めていた。
「量販店様は伝票が多いので、データを送信いただけるのはありがたかったのですが、フォーマットが統一されていないため、新しいお得意先様ごとにシステム対応しなければならず、それが大きな負担となっていました」と、情報システム室長の宇野康典氏は振り返る。何とか統一フォーマットで入り口を集約する方法はないかと模索していたところ、2001年に取引先のある卸売業から、発注・仕入・請求照合データについて、プラネットのEDIで接続できないかと打診を受けた。
「プラネットが標準化されたEDIサービスを提供していることは知っていたのですが、どのように利用すればよいかわからずにいました。そんな時にお客様からお声掛けいただいたことがきっかけとなり、EDI化の取り組みがスタートしました」(宇野氏)。
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EDIによって受注業務の作業負荷が軽
EDI導入にあたっては、受注担当者を納得させることに最も注力した、と情報システム室の小手川勝己氏は語る。
「それまでは、FAXで届いた発注書に沿って基幹システムに受注内容を入力すればよかったため、受注担当者にはEDI導入で運用が変わることへの抵抗感がありました。また、既存の顧客管理マスタに加えて、接続先卸売業のステーションコードや納品先の標準取引先コードなど、新たなコードの登録が必要になるため、かえって手間がかかるという印象を持った担当者もいました。そのため、まずはプラネットEDIの一連の流れを説明し、EDI化を進めることが当社やお客様の業務効率化にとってどれだけ重要かを説明し、理解してもらいました」(小手川氏)。
2005年ごろから家庭用商品を扱う卸売業各社との発注・仕入データの接続が本格化し、現在、売上ベースで全体の約5割、家庭用販売ルートだけをみると7割強をEDIでカバーしている。
EDI化の成果について、宇野氏は次のように語る。
「当社では受注時間が午前9時から11時と決まっており、その間に出来るだけ多くの伝票を処理したいというニーズがあります。15年前に比べると売上も伸び、商品アイテム数も倍増していますので、手作業のままであれば入力業務の負担はかなり増えていたはずですが、EDI化が進んだことによって短時間に大量の処理が可能になり、人員を増やすことなく、時間内で対応できています」。
具体的な成果として、EDI導入後は残業がほとんどなくなったという。また、手入力によるミスがなくなったことも大きなメリットだ。従来は、熟練した担当者でなければ膨大な入力を正確に行うことは難しかったが、EDIではデータを取り込むだけなので、スキルのない新人でも担当することが可能で、作業負荷は大きく軽減された。
今後は業務用ルートも含め、EDI接続の割合をいかに高めていくかが課題だ、と小手川氏は言う。
「EDIにまだ対応していないお取引先様も多いので、プラネットさんにはすそ野を広げる取り組みをぜひお願いしたいですね」(小手川氏)。
なかでもプラネットがメーカー・卸売業各社を対象に毎年実施しているEDI接続アンケートは、取引先の状況を把握できるとともに、自社のEDI化の意向を伝えることで取引先に対応を促すことにもつながるため、今後は実施頻度を高めてほしい、とのリクエストをいただいた。
コストと効果のバランスを重視したBCP対策
同社では、2011年の東日本大震災を契機に、BCP(事業継続計画)にも積極的に取り組んでいる。
「東京で計画停電が実施されると基幹システムが止まって受注できなくなるため、東京にあった基幹システムとメール関係、ファイルサーバを大阪営業所に一時的に移設しました。大阪を選んだのは、スペース的にマシンを置く余裕があったことと、自社社員の目の届く場所の方が有事の際に対応しやすい、という理由でした」と宇野氏。
当初は、しばらく様子を見て東京に戻す予定だったが、大阪でも計画停電の話が持ち上がるなど、どこにマシンを置いてもリスクは避けられないことを痛感。そこで、大阪のマシンはそのまま予備機として残し、東京に基幹システムの親機を設置して、システムの二重化を図った。
「当社の業務では、金融機関のように瞬時にバックアップ機に切り替える必要はないので、10分おきにデータを同期するシステムを構築しました。もちろん最も重視したのは“システムを止めないこと”ですが、BCPのコストが突出してしまっては本末転倒です。自社にとって何が必要で、何が可能なのかを見極め、できるだけ費用面も抑えながら、確実に障害に対応できる態勢を考えました」(宇野氏)。
現在ではオンサイトだけでなく、VPNでインターネットに接続できる環境さえあれば、どこからでも東京・大阪のサーバにアクセスできる仕組みになっている。また、取引先の半数については、今もファックスによる受注を行っているため、平常時はファックス機で受信した内容をデータとしてクラウドサービス内に蓄積し、本社が被災して通信障害が起きた際には、ボイスワープで注文書の情報を直接クラウドサービスに送り、サテライトオフィスなどで受注入力を行う際に参照できる仕組みを導入するなど、BCPに関して万全の体制をつくり上げている。
最後に、宇野氏から次のような言葉をいただいた。
「当社では、プラネットが受注に関するインフラとなっているので、もしプラネットが止まったら業務も止まってしまいます。すでにプラネットさんではいろいろな対策を講じられていますが、時代とともに技術も変わりますので、今後も“止まらないサービス”を追求し続けていただきたいと思います」。
ご期待に応えられるよう、プラネットはこれからも研究を重ねて技術の向上に努め、さらに強固な体制づくりを目指していきたい。