MITEOS(ミテオス)
MITEOSを活用し、仕入業務の効率化を推進
- 森川産業株式会社
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仕入部長
高橋 成明さん係長
草野 広志さん
メーカーと卸売業の間で手軽に発注・仕入データの双方向通信を実現できるサービス「MITEOS」を、各社ではどのように活用し、評価しているのか。MITEOSのメリットや課題についてお話をうかがった。
事業の成長に伴って仕入業務の効率化が課題に
医療衛生用品、育児用品、介護用品などを扱う医療系専門商社として、ドラッグストアやホームセンター、スーパーをはじめとした多様な業態の小売業に、健康に関わる商品を供給している森川産業株式会社。専門性を重視した独自の事業展開で大きく躍進し、好調な業績をあげている同社では、事業の拡大に伴って仕入先の社数や取引量が増加し、仕入業務の負荷が増大し続けていた。
従来の紙ベースの仕入業務では、仕入先から送られてきた仕入伝票に基づいて事務部門で社内システムに入力した後、仕入部が内容確認を行い、OKだったものを支払いへ回すという二重チェックを行っていた。そのため、支払いまでのリードタイムが長く、手入力によるミスの可能性もあった。
「特に問題となったのが、期ずれです。メーカー様が月末に出荷していても、伝票が届くタイミングによっては当社では翌月の計上となり、支払時期にずれが生じるのです。そのためメーカー様からは、もっと早く仕入計上が出来ないかというご要望がありました」と、仕入部の高橋成明部長は語る。
もう一つ、業務効率を見直すきっかけとなる出来事があった。入力担当者の1人が病気で休業することになり、現場が混乱をきたしたのだ。
「もともと少人数で大量の伝票を処理していましたので、担当者が1名欠けると影響が大きく、これは真剣に効率化を考えなければいけないと思いました」(高橋部長)。こうして高橋部長が先頭に立ち、EDIデータを利用した仕入計上自動化への取り組みが進められた。
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MITEOSの登場でデータ交換による効率化が進展
自動仕入計上では、メーカーから送信される仕入データを朝・昼・夕と1日3回受信し、入荷数量と照合して一致していたら、仕入内容が確定する。仕入先からのデータをそのまま仕入計上に回せるため、リードタイムの大幅な短縮が実現した。また、社内での伝票入力作業が不要になり、正確性もアップした。(図1)
しかし、仕入先の多くは専門性の高い中堅・小規模のメーカーであり、システム構築を必要とする基幹EDIでの接続準備が困難なため、利用メーカーの拡大には限界があった。ちょうどそのタイミングで登場したのが、MITEOSだった。
「MITEOSは操作も簡単で、メーカー様はシステム構築をせず低コストでサービスを利用することが可能です。EDIと同様に卸売業が仕入データを受け取れるMITEOSを使えば、当社としても自動仕入計上をさらに進められると直感しました」と仕入部の草野広志係長は言う。
2012年9月にMITEOSの利用を決定し、11月には仕入先メーカー向けに、自動仕入計上とMITEOSの説明会を開催した。
「EDI未接続で発注伝票枚数が40~50枚/月あるようなメーカー様には、積極的にMITEOSをお勧めしました。自動仕入計上とMITEOSをまとめて一緒にご説明できたため、メーカー様も効率化のメリットが理解しやすかったのではないでしょうか。その後、プラネットさん主催の操作説明会に参加して、これならできそうだと実感されたメーカー様も多かったようです。プラネットさんには、バイヤーズネットの商品マスタ登録支援サービスなどで長年の実績と信頼があります。だからこそ、安心してMITEOSという新しいシステムを導入できるのです」(草野係長)。
自動仕入計上によってメーカー、卸売業の双方にメリットが
2013年3月からMITEOSの利用を開始し、現在では仕入先17社とMITEOSによるデータ交換を行っている。MITEOS導入による効果として、同社では伝票入力枚数を約1,800枚/月、ファックス送信枚数についても約1,600枚/月を削減することができた。これらの伝票入力作業の軽減により、2003年度に事務員3名で担当していた仕入計上業務が、現在では2名で対応できるようになったという。この間、同社の売上高は200億円から400億円へと倍増していることを考えると、自動仕入計上によっていかに効率化が図られたかがわかる。あわせてペーパレス化も促進され、伝票の保管場所が不要になるなどの利点もあった。
メーカー側にとってもメリットは大きい。仕入データがそのまま計上され支払いへと回るため、仕入伝票を起票して郵送する手間とコストが不要となった。仕入計上がスピードアップし精度も向上したため、期ずれや支払いもれといった問題もなくなった。また、発注ファックスが行方不明になるといったトラブルも回避できるため、メーカーからの月末の問い合わせはほとんどなくなったという。
ただし、いくつかの課題もあると草野係長。
「運賃や値引きなどが発生すると、現在は紙ベースで対応するしかありません。MITEOSの中でそうした変更を反映できる仕組みをぜひつくっていただきたいですね。また、自社システムをお持ちのメーカー様がMITEOSの受注情報を自社システムに取り込むには、自社システムに合わせたデータ変換が必要なのですが、その作業を敬遠されるケースが多いです。そのあたりも考慮いただけると、MITEOSを利用するメーカー様は一気に増えるのではないかと思います」。
高橋部長からは、次のようなコメントをいただいた。
「企業の大小に関わりなく、物流の効率化はメーカー様、卸売業に共通する重要な課題です。MITEOSという選択肢が出来たことで、データ交換による効率化の間口が広がったのはありがたいことです。プラネットさんには、MITEOSに加えて、商品情報などさまざまな情報の標準化、共有化を今後もさらに進め、流通業界の発展に貢献されることを期待しています」。