株式会社プラネット

HOME > 知る・役立つ・参加する > 広報誌 Planet VAN VAN > 2021 Autumn Vol.132 > 日本の祭り

唐津くんち 秋を彩る華麗で勇壮な曳山行事

写真提供:一般社団法人唐津観光協会

 州北部には「くんち」と呼ばれる祭りが多い。くんちの語源は諸説あるが、「九日」や「供日」だろうと考えられている。旧暦9月の9・19・29日は、全国的に収穫を感謝して供物を捧げる行事が見られるのである。
 中でも規模が大きいのが、「長崎くんち」「博多おくんち」、そしてこの「唐津くんち」だ。「くんち」の名の通り、10月9日に初くんち、29日に唐津神社での本殿祭が行われるが、メインの行事は11月2日からの3日間となる。
 見どころはなんといっても、14町から出される曳山(やま)であろう。写真は11月2日の「宵曳山(よいやま)」で、提灯に照らされた曳山が幻想的で美しい。手前から赤獅子(刀町)、青獅子(中町)、亀と浦島太郎(材木町)、源義経の兜(呉服町)、鯛(魚屋町)……と並んでいる。いずれも江戸末期から明治期にかけて製作されたもので、数百回も貼り合わせた和紙に漆を塗り固めた乾漆(かんしつ)技法で製作されている。
 翌3日と4日は、この曳山たちが「エンヤ」「ヨイサ」の掛け声とともに市内を巡行する。ユネスコの無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つでもある、華麗かつ勇壮な曳山祭りだ。
 なお、曳山は祭り期間以外でも、曳山展示場で見ることができる。

唐津くんち(からつくんち)
※唐津神社の秋の例大祭(秋季例大祭)
※「唐津くんちの曳山行事」としてユネスコ無形文化遺産に登録

■開催日:1月2〜4日
■開催地:佐賀県唐津市 唐津神社・唐津市内
■アクセス:JR唐津線唐津駅下車
※最新の開催状況などは以下よりご確認ください 
 唐津観光協会ホームページ

監修・文 久保田裕道 独立行政法人国立文化財機構 東京文化財研究所 無形民俗文化財研究室長
著書に『日本の祭り解剖図鑑』(エクスナレッジ)、 共著に『民俗芸能探訪ガイドブック』(国書刊行会)など。