全長15メートルもの緑のドラゴンが町の中を練り歩く。そんな祭りが、栃木県にある。小山市の間々田八幡宮で5月5日に行われる「間々田のジャガマイタ」だ。ジャガマイタの語源については、「蛇が巻いた」「蛇が参った」など諸説ある。
龍は、シダ類や藤づるなどの草木を太縄に巻きつけて作られる。かつてこれを作るのは、子どもたちの役目であった。材料をあちこちから集め、デザインも自分たちで考えた。現在は、子どもだけとはいかないが、それでも中心は中学生だ。
龍は7つある町会ごとに作られ、総勢で7体。祭りの朝、まず間々田八幡宮に集結。午後になって、順に境内の池に入って暴れまわる「水飲みの儀」が始まる。もともと龍は水神と同一視され、雨を司る存在であった。池の中で暴れるのも、雨乞いの名残なのかもしれない。
池から出ると、今度は各々の町内へと向かう。「ジャーガマイタ、ジャガマイタ」のかけ声も勇ましく、住宅街を練り歩き、ときに家の中にも頭を突っ込む。龍は災いを追い出す力も兼ね備えているのである。そしてクライマックスは「蛇もみ」。龍が激しく舞う様子が繰り広げられる。
-
間々田(ままだ)のジャガマイタ
■開催日:5月5日 ■開催地:栃木県小山市間々⽥(間々⽥八幡宮)
■アクセス:JR宇都宮線間々⽥駅から車で約5分、徒歩約30分。駅西口からタクシーまたはコミュニティバスをご利⽤ください。
監修・文 久保⽥裕道
独立行政法人国立文化財機構 東京文化財研究所 無形民俗文化財研究室長。著書に『日本の祭り解剖図鑑』(エクスナレッジ)、共著に『民俗芸能探訪ガイドブック』(国書刊行会)など。