ホワイトフランチャイズ
ワークマンのノルマ・残業なしでも年収1000万円以上稼がせる仕組み (土屋 哲雄著、KADOKAWA)
近頃のワークマンの業績が好調である。
ワークマンは、建築や土木の作業員いわゆるガテン系の人達の衣服を専門に販売する小売店であった。多くの店がロードサイドにあり、現場に行く前の早朝あるいは仕事終わりに立ち寄って衣服を買う店で、限られた顧客のみを相手にしていた。しかし、一部の人達が、その品質を認めるようになったことを受けて、ワークマンプラスという業態を開発し、アウトドア衣料品も品揃えしたところ、ガテン系以外の新たな顧客が増え始めたということである。
フランチャイズチェーンとは、店舗を各地に展開するために、地元の人に仕事を請け負ってもらい、事業の目的に沿った店を開いてもらうというチェーン展開の方法である。仕事を請け負った人は、本部から商品を送ってもらい、本部の指導によるサービスをする。売上が上がったら利益をもらい、一部を本部に経営指導料として支払う。つまり、仕事を請け負った人はノウハウがなくても地元で事業をすることができるわけである。本部としては、店舗を次々と増やすことができる便利な方法である。
しかし、一部のチェーンでは、経営指導料が高い、売れ残り品の責任を負わなければならない、指導に反するようなことをするとペナルティーが科されるなど、ブラックなことが起こっている。本部が売上と利益を増やそうとするあまり、店舗経営者に負担を強いるようなことがあるからである。
その点、ワークマンは、店舗経営者をいかにして支援し育てるか、事業の継続をしてもらうかに主眼を置いていて、店舗経営者から支持され、感謝されているということである。
本書では、店舗経営者が不安を抱えながら事業を始めたところ、うまく行き、子供たちも協力を始め、後継者として育っている様子。さらに、ワークマンプラスという新業態を展開始めて女性用の商品もそろえるようにしてからは、娘たちが後継者として頑張り始めていることなども書かれている。
人を厳格にルール通りに働かせようとしてもうまく行かないものである。人は自由でいれば創造性を発揮し、機嫌よく働くのである。ただし組織である限りは、目的を共有化する必要がある。そして、その目的が共感できるものであれば、人は助け合いを始める。
一言でいえば、ワークマンは仲間を大切にして自主性を尊重する経営ということのようだ。本書の著者の土屋哲雄専務取締役と創業者の伯父土屋嘉雄の人柄がそうさせているものと思われる。土屋氏は前書きで、「がんばりすぎない、がんばらせすぎない」と述べている。どうやらこれがコツのようだ。