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玉生弘昌(名誉会長)の読書

株高・資源高に向かう 世界経済入門 (朝倉慶著、ビジネス社)

 日本の株価はどうなるのか知りたい時には、長谷川慶太郎の本を買って読んでいた。長谷川慶太郎は、世界の情勢を解説し、日本の株価について常に明るい未来を示していた。一部には、株屋の手先ではないかという批判もあったが、読みやすかった。その長谷川慶太郎は一昨年亡くなってしまった。本書は、長谷川慶太郎を彷彿とさせるような内容で、頼りになりそうな株取引の指南書である。
 世界経済の台風の目になっている中国について、半導体不足の中で中国の半導体の自給率が16%と意外と低いことを指摘、また、ジャック・マーの問題から始まったIT会社への締め付けが強まり、成長を阻害しているように見えること、続いて、学習塾に対して突然の締め付けが始まったことについては、まるで高学歴の国民は必要がないということのようだと記されている。著者は、中国経済について、慎重な見方をしている。

 世界のエネルギー問題については、SDGsやESGが重視され、ドイツの炭鉱が閉鎖され、再生可能なエネルギーへの切り替えが急がれている。しかし、そうすぐには切り替わらないため、石油と天然ガスが高騰する可能性が高いと記されている。いわゆるグリーンフレーション(環境重視をするあまり、物価上昇が起こること)になるということであろう。

 巻末の方に、お勧めの株として、日本郵船、TOTO、などが載っている。
 早速、日本郵政の株を買った。しかし、買った翌日、中国の不動産バブル崩壊懸念で100円も下がり7,500円になってしまった。だが、配当金は700円であるから、1年間保有すれば700円返ってくる。配当金利回りは、何と9.33%! 750万円で1,000株買えば、70万円の配当金を得ることができるのである。750万円を銀行に預けておいても千円ほどの利息しか付かない。9%以上の利益を得るということは相当に高い。
 実は、日本株には高配当の会社がたくさんある。JT、トヨタ自動車、なども配当が高い。配当金利回り5%ぐらいの会社はいくらでもある。このように、銀行預金をするよりも、格段に有利であるにもかかわらず、日本人の多くは株取引をやっていない。日本の家計の金融資産は1,946兆円もあるのだが、大半が銀行預金あるいはタンス貯金で、株取引をする人は少ない。
 著者は、日本人は株式投資をもっとするべきだとし、近年、若い人の株取引が増えていることに期待をしていると述べている。株のビギナーのために小規模の投資利益に対しては無税にするというNISAが功を奏して、若い人が増えているようだ。資本主義社会は、やはり資本家が有利にできている。資本家になりたければ、株を買えばいいのである。
 本書には、日本郵船とTOTO以外も、10銘柄ほどお勧め株が掲載されている。 知りたい方は本書をお買いください。

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