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玉生弘昌(名誉会長)の読書

日本嫌いのアメリカ人がたった7日間で日本を大好きになった理由 (マックス桐島著、実務教育出版)

 近頃の日本ブームで、様々な本が出版されている。以前にも、日本各地の情報を世界に発信しているジャパンガイドの運営者のシャウエッカーの本を紹介したが、外国人観光客の増加はますます加速し、日本の深いところまで理解する人が増えているようである。

 そこで、日本が世界の中でどのような位置に到達するのか探ってみたくなり、本書を手に取ってみた。

  本書の著者はマックス桐島、ハリウッドで活躍する日本人である。相当に英語に堪能であるとともに、アメリカ人の友人もたくさんいるようである。その桐島が、日本嫌いのアメリカ一家を日本に案内する物語から始まる。中国旅行のついでに日本に立寄った一家は、ラッシュの新宿駅、渋谷の交差点を見て、日本人の集団の均衡を感じ、次に訪れた陸前高田ではアメリカ軍のTomodachi作戦に感謝を述べる老人に出会い、京都の料亭では日本料理の繊細さを味わい、大阪では日本の多様性に気づく。新幹線で食べた駅弁に感動し、しかも食べ終わった弁当箱を綺麗に畳んで始末する日本人の姿に感心する。

 まず、ニックの妻が「日本人は集団の中で微妙にバランスを取るのがうまい」と気づく、次に娘が「中国では常に怖いと感じたが、日本では怖いと感じたことがない」と言い、少しずつ変わり始める。最後にタカ派の共和党員ニックが「僕が日本人に対してミステリアス(で理解できず不気味)と感じていたが、直接接してみて、曖昧なグレーゾーンの中にディープなカルチャーが息づいている。日本が好きになった。リタイアするなら日本だね!」と言って帰国する。

 が第一章。第二章以下は桐島氏の日本文化論となっている。35年に及ぶ海外生活で得た外国人が感じている日本像を数多く紹介している。例えば、ディープなカルチャーを持つ日本人は他国のものも改良をくわえそれのものにするのに対して、中国人はより安くするが粗悪なものにしてしまうこと。また、日本人の気風「背負って立つ」という責任感が「日本人ならやってくれそうという雰囲気は世界中に確かにあるし、そこまで信頼される国家、国民はあまりない」と言う人を紹介している。

 世界における日本の存在がより大きなものになるに違いないと予感させる分析である。日本人には謙譲の美徳によって、積極的に発言しないという癖があり、やはりまだ知られていないと言わざるを得ない。積極的にまたかなり正確に伝えることができるこの桐島にもっと発信してもらいたいものである。

  そして、エピローグで桐島自身が思わぬおもてなしを受けて号泣してしまうという体験を述べている。これには誰も感動の涙を流すに違いない。

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