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玉生弘昌(名誉会長)の読書

文藝春秋5月号「奇跡の日本経済復興論」 (浜田宏一、藤原正彦対談(浜田宏一、藤原正彦対談)など、近頃の雑誌を読んで。)

 いま、アベノミクス旋風が吹いている。アベノミクスの指南役といわれているイェール大学の浜田宏一教授の著書「アメリカは日本経済の復活を知っている」(講談社)は、前回紹介したが、その他にもアベノミクスについて論じた本は書店に満ちている。

 やはり、アベノミクスは大きな転換点であるのは間違いがない。再度、取り上げたい。

 文藝春秋5月号「奇跡の日本経済復興論」浜田宏一と藤原正彦の対談で、浜田は「貨幣量を増やせば、デフレも円高も収まる。リーマンショック後アメリカは貨幣量を3倍以上に増やした。欧州も韓国も紙幣を刷った。それによって、経済の活性化を成功させた。唯一日本だけが貨幣を微増させただけで、静観を決め込んだ。」と述べ、藤原も「ゼロ金利では国債を買ってもデフレに効かないとの日銀の説明は、無策を正当化しているにすぎない。怒りを覚える。」と応じている。浜田も「エルピーダメモリは日銀に潰されたといっても過言ではない。日銀が他国のように適切な金融政策を採っていれば、パナソニック、ソニー、シャープなども危機に瀕することはなかったはず。」と応えている。

 「現代のマクロ経済学を理解する政治家がいなかったことは不幸なことだが、今やっと安倍首相のように、経済政策を真剣に議論する政治家が現れた」と安倍首相への評価が高い。

 Voice5月号(PHP出版)では、李登輝氏が安倍首相を評価している。李氏は「日本のデフレは政治指導力の問題」として、アベノミクスへの期待を述べている。日本の経済学者は、デフレは人口減少によるものだなどといい、リーマンショック後の経済構造の変化に目をつむってきた。また、日本が円安誘導政策を採ることは世界に失業を輸出することになるという議論もあったが、そんな心配はいらないと述べている。李氏のいう通り、4月19日のG20の財務相・中央銀行総裁会議で、懸念されていた日本の金融政策に対する批判は出なかった。また、李氏は、日本の経済学者やマスコミは、円安政策やインフレターゲットについても批判的な傾向があったことを指摘している。

 週刊東洋経済(4/20号)は、「反対から賛成へ政策委員の不可解な変心」と題して、3月に白川総裁の下で開かれた金融政策会議において1対8で否決された金融政策が、一か月後の黒田総裁の下では全員が賛成に転じたことを皮肉っている。

 事なかれ主義、迎合の姿勢に終始してきた日本の変われない構造には、やはり強いリーダーシップが必要のようだ。

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