基幹EDI
業界を越えた互換性の拡大が
これからのEDIの課題
- 株式会社バスクリン
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菊池 健 さん
生産部 企画課
マネジャー西尾 晋尚 さん
販売管理部 計画管理課
マネジャー金木 清 さん
総務部 総務グループ石川 泰弘 さん
販売管理部 営業企画課
マネジャー 広報専属 博士
(スポーツ健康科学)
※役職等は取材当時のものです。
「健康は、進化する。」をスローガンに掲げる株式会社バスクリン。長年にわたりプラネットのEDIサービスを利用いただいている同社に、日々の業務や、ご利用状況、ご要望などについてお話を伺った。
プラネットは縁の下の力持ち
入浴剤の代名詞ともなっている「バスクリン」は、80年を超す歴史を誇るロングセラーブランドだ。株式会社バスクリンは、この「バスクリン」をはじめ、さまざまな入浴剤や関連製品を世に送り出し、お風呂の時間をこよなく愛する日本人の入浴文化と健康を支えてきた。
津村順天堂(現株式会社ツムラ)の家庭用品事業としてスタートした同社は、2008年にツムラグループから独立して、2010年に現社名となった。当社のEDIサービスを、ツムラ時代から30年以上にわたって利用している老舗ユーザーである。導入当初からEDIに携わってきた菊池健さんは、次のように振り返る。
「もともとツムラでは、JANコードの普及前から医薬品系の業界VANを利用していたのですが、その中で日用品は扱われていませんでした。そこにプラネットのEDIサービスが登場し、取引先からの強い要望もあって、早い段階で導入に踏み切ったのです。JANコードなど共通するインフラがすでにあったので、導入はスムーズでした」。
その後、プラネットのEDIが一般用医薬品(OTC医薬品)業界で利用されるようになったため、同業界の卸売業を中心に接続先は一気に増えた。今では、同社のEDIによる受注のカバー率は98%を超えているという。現在、東京支店、名古屋支店、大阪支店、東日本営業所、福岡営業所の各拠点に、受注担当が1人ずついて、本社では販売データの管理、商品データベースの登録などを行っている。
「今でこそ、インターネットが普及して気軽に利用できますが、このような環境が整うずっと以前から、私たちはプラネットのEDIで、受発注のやり取りや販売データの照会ができていたわけです」(菊池さん)。
「日々利用していると当たり前に思ってしまいますが、改めてプラネットは業界を支えてきた縁の下の力持ちであり、ありがたい存在だと実感しています」(西尾さん)。
日本人の健康と入浴文化を支える
同社の社員の中には、温泉入浴指導員などの資格を自発的に取得し、業務に役立てている人も多い。なかでも広報に携わる石川泰弘さんは、温泉入浴指導員のほかに、睡眠改善インストラクター、さらにスポーツ健康科学の博士号まで取得し、自社のホームページにコラムを掲載したり、著書を出したりと幅広く活躍している。
「学位は、仕事をしながら5年間かけて修得しました。睡眠改善インストラクターの資格も、弊社研究部門が『入浴と睡眠』をテーマに研究し始めて、睡眠学会を訪れたのがきっかけでした。そうした勉強を通じて、知識を得られただけでなく、外の世界に人脈が広がったことは私にとって大きな成果で、業務の上でも大変プラスになっています」と石川さんは言う。
今年はちょうど平昌冬季五輪開催の年であったが、株式会社バスクリンはスキージャンプ競技やコンバインドを中心に、アスリートのサポートを行っている。
「入浴と睡眠は、健康維持と密接に関係しています。アスリートが身体の疲れを取り、コンディションを整えるためには、良質な睡眠が不可欠です。それを実現する効果的な入浴方法のポイントなどを啓発することで、選手たちの活躍に少しでも貢献できれば良いと思って活動しています」(石川さん)。
かつての入浴剤は、冬にお風呂で温まるためのものというイメージが強かったが、最近では、温浴効果を高めることで美肌や疲労回復をはじめさまざまな効果・効能のあるものや、季節限定商品など、多彩なバリエーションがある。また同社は、生薬の研究から生まれた育毛剤や基礎化粧品など、新しい商品開発にも力を注いでおり、幅広いラインナップで消費者の健康ニーズにこたえている。
「とはいえ、当社の主力商品である入浴剤がいちばん売れるのは、やはり冬の時期です。週末の気温が1、2度下がるだけでも、売上は大きく変わってくるため、気象情報をベースに販売予測を立てています。予測の結果を、販売データですぐに確認できるのはとても助かります。とくに昨年は『温美浴』という新ブランドを立ち上げたので、販売データで市場での動向を細かくチェックして、営業戦略に役立てています」と、西尾晋尚さんは販売データを評価する。一方で、プラネットが提供する在庫データに関しては、まだうまく活用できていないと本音を漏らす。
「今はどうしても卸売業の在庫実数との差があるので、有益に活用できているかを問われれば疑問です。将来的に、大手卸売業の在庫を把握して、品切れしそうな他店へ転送するといったことが、在庫データを使ってできるようになるのが理想ですね。返品はメーカーにとって永遠のテーマですから」と西尾さん。
業界を越えたシステムに期待
システム担当の金木清さんは、次のように語る。
「システム自体の運用は、適切なアウトソーシングを行っており、うまくいっております。ただ近い将来、全銀TCP/IP手順が利用できなくなる可能性があるということで、JX手順等のインターネット手順に移行をする必要があります。これは社内での対応になるので、その際はプラネットにイニシアチブをとっていただきたいです」。
最後に、菊池さんから、これからのプラネットへの期待とご要望についてお話しいただいた。
「業界の情報インフラであるプラネットには、業界の枠にとらわれない仕組みづくりを積極的に推進していただきたいですね。今はメーカー、卸売業、小売業、そして物流業ともに、従来のカテゴリーを超えて、多種多様な商品を取り扱う時代になっています。しかし、業界ごとにシステムやデータ種が違っている。導入には費用が伴うため、私どもはいくつものシステムは持てません。もともとプラネットは、業界VANという位置づけからスタートしていますが、カバーするデータは日用品、化粧品業界の受発注に留まらずどんどん広がっている。そんなプラネットなら、流通業のデータのサードパーティとして活躍いただけると期待しています。異業種とも共通の仕組みでやりとりができれば、日本の流通業全体がより効率的になって、生産性の向上にも繋がるのではないでしょうか」。
また、ユーザー会のような大きなイベントの他に、少人数の情報交換会などを開催してもらえると、業界内のコミュニケーションが活性化されるので、是非企画して欲しいと具体的なご要望をいただいた。当社としては、今後も皆様のお役に立てる施策を考えていきたい。