プラネットニュースNo.126
2015.08.14
「訪日中国人客の買物意識と行動に関する調査レポート」速報版を発表
一般消費財の流通における取引業務を効率化するEDI(電子データ交換)やデータベースサービスを提供する株式会社プラネット(本社:東京都港区、代表取締役社長:田上正勝)は、訪日外国人が増加し日本国内での買物需要が拡大している現状に鑑み、旅行中の消費額と、化粧品・トイレタリー・医薬品カテゴリの購入額と購入率が他国・他地域と比べて非常に高い訪日中国人客の日本での買物行動について調査を実施しました。
このたび、調査結果の速報を「訪日中国人客の買物意識と行動に関する調査レポート」と題した報告書にまとめました。以下、その概要をご紹介します。 (注)調査報告書は当社Webサイト「研究会・構想」ページ にてご覧いただけます。
今回の調査は、以下の三つの観点で設計しました。
1.訪日前の準備行動として「日本での買いたい物リスト」作成にあたり、どのような情報をもとに、どのような準備をしているか
2.日本滞在中に実際にどのような買い物行動をしているか
3.帰国後の消費とその後の行動
また、①中国本土でのインターネットによるアンケート調査、②上海でのグループインタビュー、③茨城空港での帰国直前の訪日中国人へのインタビュー、という三つの方法により、多角的な調査を行ないました。
なお、今回の速報版には、茨城空港での帰国直前の訪日中国人へのインタビュー結果は掲載しておりません。来月上旬に発行予定の正式版の報告書に、調査結果の考察と、調査に協力いただいた青山学院大学経営学部教授三村優美子氏、東京国際大学商学部教授 金 琦氏のコメントと合わせて掲載する予定です。
1.中国本土でのインターネットによるアンケート調査結果の概要
(1)購入リスト、メモ作成
「購入したい商品と、それらを購入できる店の詳細なリストを作った」が最多で、全体の45.4%を占めました。 商品もしくは店舗のみリストを作成、自分では作らなかったものの、家族などからリストを渡されたという回答も 含めると89.9%、ほぼ9割が訪日に際して購入リストやメモを作成していました。 また、リスト作成の際に参考にした情報源のトップ3には「中国に住む家族・親族・友人・知人」(49.2%)、 「ポータルサイト(百度、新浪、、捜狐など)」(44.2%)、「SNS・ミニブログ(人人網、微博、微博、微信など)」(39.9%)が挙げられました。
(2)購入リストに挙がった商品
購入リストに挙がった医薬品や化粧品、日用品は約30種類と多岐に渡っていますが、半数以上の回答者が挙げたのは日本メーカーの化粧水・乳液などの基礎化粧品(55.7%)、日本メーカーの口紅・ファンデーションなどのメイクアップ化粧品(54.3%)の2つでした。
(3)行きたい店舗リストに挙がった店舗
伊勢丹(52.7%)、三越(44.0%)、マツモトキヨシ(42.9%)、ドン・キホーテ(39.0%)、空港の免税店(31.3%)が上位にランクインしました。なお、これらの店舗をリストに挙げた理由として、「中国語の案内や表記があると評判だった/情報があった」(46.7%)と「中国語を話せる店員が居ると評判だった/情報があった」(41.2%)の2項目だけが4割を超えていることから、中国語への対応状況が重視されていることが伺えます。
(4)日本で買い物をする際、店頭に無いと困る・必要性を感じた「中国語での商品情報」
トップ3に挙がったのは、商品情報のなかでも基本的な「ブランド名」(51.0%)、「商品の特長」(43.9%)、 「商品名」(43.3%)で、より詳細な情報である「使い方・保存方法」(39.4%)は4位でした。
(5)日本で購入した商品のうち、「買ってよかった」「今後も継続して使いたい」商品
「買ってよかった」「やや買ってよかった」の回答比率が高かった商品は、購入リストでも過半数を超えていた日本メーカーのメイクアップ化粧品(93.0%)、日本メーカーの基礎化粧品(90.5%)に続いて、風邪薬(89.0%)がランクインしました。
「ぜひ今後も使いたい」「できれば今後も使いたい」の回答比率が高かった商品は、頭痛薬などの解熱鎮痛剤(99.2%)、風邪薬(97.4%)、爪切り・ビューラー・カミソリなどの化粧小物(96.8%)という順になりました。
2.上海でのグループインタビュー結果の要旨
(1)訪日旅行の動機・目的
・中国人にとっての憧れである「日本の質の高い製品や食べ物、サービス」を買いたい、体験したい
・アジアナンバーワンの先進国の実態を見てみたい ・日本製品に対する「信頼」「信用度」の高さ
(2)訪日前の旅行計画
① 購入リストをつくる
A.情報源
・淘宝(タオバオ:中国の電子商取引最大手のアリババが設立したネットオークションサイト)、SNS〔微博(Weibo):ミニブログ、微信(We-chat):中国版LINE など〕や、検索エンジン〔百度(バイドゥ):別名「中国のグーグル」〕やショッピング通販サイト(天猫)にキーワードを入力して検索し、日本で何を買うかを決める。
・ 家族・友人・知人から「微信」など通じて、欲しい商品の依頼を得る。
B.購入リストの種類
・ リストは、データのプリントアウトや手書きのメモ、携帯アプリや携帯メモ機能などを用いる。
・ 自分用と、家族・友人・知人から依頼を受けた品のリストは別々に作成。
② 情報整理・購買計画をつくる
・ 製品名だけでなく、国内参考価格、製品パッケージや概要などの情報を調べる。
・ グーグルマップを使って店舗の場所、交通手段などを調べ、事前に情報整理を行う。
(3)訪日中の買い物
① お店に行くとき
・ 有名ブランド等はどこで何を売っているかを事前に調べられるが、「日本でいま何が流行しているか」という情報を収集する手立てがない。
・ 道に迷ったり、店舗の場所が分からなかったりした時には、日本人に協力を求める。
② 買い物をするとき
A.サポート
・ 購入リストにない商品を探す時には、ガイドや店員に協力してもらう必要があるが、言葉が通じないため、コミュニケーションが取りづらく苦労することがある。
・ 大手百貨店などでは、店内ツールや中国語を話せる店員の配置などで問題解決してくれている。
・ 日本の店員は買わない人に対しても親切である。
B.言語・表記
・ 言葉が通じないことや中国とは表記が異なることで苦労する。消費税についても、税抜は「免税」表記でわかるが、表記の仕方によってはこちらが思っていた値段と違うこともある。
C.価格
・ 日本製品の価格は中国国内より安いため、それほど気にしない。但し、キャンペーンは購買意欲を刺激する。
D.免税
・ 一定額にならないと税が免除されず、手続きがわからないことも。税金還付は簡単で便利だが待ち時間が長い。
E.店舗
・ 20 時で閉店になるお店が多く、不便。なお、時間を節約したいので、一ヶ所で買い揃えられるのがベスト。
F.情報発信
・ 買った商品の写真を「微信」等に載せる。日本で流行している情報を友人たちに伝えたい気持ちが強い。
③ 製品
A.品質
・ 「Made In China」でも、日本で買うと中国で買った製品より品質が良いと思っている。日本の品質検査の基準は中国とは別のもの。
・ 「日本限定」製品は品質が高いと思っているので、できるだけ「日本限定」製品を買う。
B.使用方法
・ 製品自体は満足に思っているが、使用方法が分からないので困っている。
・ 日本製品の使用方法は、中国国内のサイトにも載っているが調べるのが手間である。
C.取扱説明書
・ ラベルの日本語説明、特に家電製品と医薬品の取扱説明書は理解することができない。
(下痢止めと下剤の区別がつかない、風邪のどんな症状に効くのかわからないなど)
・ 人気製品の中国語の取扱説明書は百度や淘宝などで簡単に見つけることができるが、取扱説明書を探しにくい商品もある。
プラネットはこれからも一般消費財の流通における変化を的確に捉え、時代のニーズに合った情報発信とサービス提供に努めてまいります。
《 ご 参 考 》
1.訪日中国人客の買物意識と行動に関する調査の概要
(1)中国本土でのインターネットによるアンケート調査
調査方法 : インターネットリサーチ
対象地域 : 上海、北京、広州、深圳
(回答者比率は順に41.1%、26.8%、24.8%、7.3%)
対 象 者 : 6ヶ月以内の訪日経験者 (内訳:女性54.9%、男性45.1%)
回答者数 : 355名、 調査期間 : 2015年4月26日 ~ 4月30日
調査機関 : インターワイヤード株式会社、GMOリサーチ株式会社
(2) 上海でのグループインタビュー
調査方法 : 中国人モデレーターによるフォーカスグループインタビュー
(世帯年収別に分けた2グループに対し別々に実施)
対 象 者 : 6ヶ月以内の訪日経験者で、25 ~40 歳の男女
グループ1 … 世帯年収20 万人民元(約400 万円)以上 5 名
グループ2 … 世帯年収10~15万人民元(約200~300 万円) 5 名
調査日時 : 2015年6月15日(月)13 ~18時
調査機関 : インターワイヤード株式会社
(3) 全調査の企画・コーディネート :一般社団法人 流通問題研究協会
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本件に関するお問い合わせ先
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