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プラネッ太くんの社会科見学

真心と感謝が行き交う奇跡の靴メーカー

 (PLANETvanvan 2013年冬号 掲載記事より)

2012年夏に販売累計が600万足を越えた徳武産業のケアシューズ「あゆみ」は、普通の靴では歩行が困難な方に“奇跡をもたらす靴”として絶大なる支持を得ています。また、「履ける靴が欲しい」「もっと外出を楽しみたい」というお客様の切実な声に応える姿勢は、法政大学大学院教授・坂本光司氏の著書『日本でいちばん大切にしたい会社 3』(あさ出版発行)をはじめ、多くのメディアで紹介されています。今回は十河孝男代表取締役と十河ヒロ子副会長に、製品づくりの背景や「あゆみ」にまつわるエピソードについてお話を伺いました。

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今回おじゃましたのは… 徳武産業株式会社 http://www.tokutake.co.jp/

ケアシューズ「あゆみ」の誕生

 当社は1957年創業で、元々は手袋製造販売をしておりました。1966年に旅行用スリッパ、1974年に大手靴メーカーのOEMとしてバレーシューズ、1989年にルームシューズの製造販売を本格的に開始し、事業を拡大して参りました。それまで接点のなかったケアシューズの開発に至ったきっかけは、私の友人から「高齢者用に転倒しにくい靴をつくれないか」と依頼されたことでした。その友人は、特別養護老人ホームを経営しており、施設入居者の室内転倒事故が後を絶たないことに頭を抱えていたのです。私は、バリアフリー環境にある場所で、どうして転倒事故が起きるのか疑問に思いましたが、施設の現場を見て納得しました。まず、みなさんの履物がスリッパでした。高齢になると足が思うように上がらなかったり、歩行のバランスが崩れたりして、自分が履いているスリッパをもう一方の足で踏んでしまい、転倒するのです。

 そこで高齢者の方々に足の悩みについて伺ったところ、その深刻さに驚きました。病気や薬の副作用によるむくみ、リウマチの痛み、変形、外反母趾、人によっては左右で足の長さや幅が違うなど、実にさまざまな問題があったのです。私は、このような悩みにきめ細かく応えられるのは、小回りが利くうちのような会社ではないだろうか、安心して履いていただける靴をなんとかしてお届けしたい、という強い使命感にかられました。それから2年間、妻と共に県内外各地の介護施設や病院に通い続けて試行錯誤を重ね、「あゆみ」が誕生したのは1995年でした。

ケアシューズ「あゆみ」の誕生

「念ずれば花ひらく」を信条に

 以前からリハビリ用の靴はありましたが、調べてみると「自分の足にフィットする靴になかなか巡り会えない」「デザインや色が地味、重い」などの声がとても多かったのです。また、左右で足の大きさや長さが違う方も想像以上に多くいらっしゃいました。ですから私たちは、片方でも売る、サイズ違いでも選べるようにしようと考えたのです。それは当時の常識から考えると、とんでもないことでした。その頃当社は、靴メーカーが集まる神戸で30年の経験を積んだベテラン技術者と技術アドバイザー契約を結んでいたのですが、私たちのアイディアはその方からは猛反対されました。「そんなことするなら教えない。第一、会社が潰れますよ」とまで言われました。

 それでも諦めずに、左右サイズ違い、片方のみの販売に踏み切ったのは、何百人ものお年寄りの靴をこの目で見て、なんとかしたいと思ったからです。ほとんどのお年寄りは、足腰になんらかのトラブルを抱えていらっしゃいますので、いずれかの足をかばって歩かれます。そのため、靴の一部分だけ傷みが早くなります。傷んでいる片方だけを交換したい、というニーズは確実にあったのです。「あゆみ」には、そういったご要望のひとつひとつが反映されています。軽さ、脱ぎ履きのしやすさ、明るい色づかい、そして、つまずきや転倒を防ぐ機能性。これらを手頃な値段で実現するにはいくつもの困難が伴いましたが、履く方の立場になって喜んでいただけるものをつくる、という姿勢を貫きました。2001年には、靴底の高さ、サイズや足囲、脱ぎ履きのためのベルト仕様など、細かく調整できる「パーツオーダーシステム」を導入しました。それ以来、おかげさまで年々ご注文が増えております。

 当社社屋の入口脇に、「念ずれば花ひらく」と刻まれた石碑があります。これは、詩人の坂村真民(さかむらしんみん)さんの言葉ですが、まさにその通りだと実感しています。お客様ひとりひとりの足にぴったり合う靴をお届けしたいという一念が、販売累計600万足突破につながったのだと思います。

「念ずれば花ひらく」を信条に

感謝の声が届く喜び

 ご購入いただいた商品をお客様にお届けする際は、当社従業員による「真心のはがき」を同封しております。実際に履かれる方のお子さんやお孫さんのように心をこめて、メッセージを綴っています。また、アンケートハガキを返送してくださった方には、お誕生日にメッセージカードと心ばかりのプレゼントをお贈りするなど、お客様とのコミュニケーションを大切にするよう、心がけております。

 私たちの思いが通じたのか、お客様から届くアンケートはがきで、大勢の方から嬉しいお言葉を頂戴しております。なかには、お手紙やハガキ、ビデオでお礼のメッセージを送ってくださる方もいらっしゃるんですよ。これらの一通一通を全社員に回覧しています。「生きているうちに赤い靴が履いてみたかった」「毎日歩くことが楽しくなりました」「すばらしいシューズに巡り会えて嬉しいです」「リハビリ頑張ります」「この靴のおかげで、歩けるようになりました」といったお言葉を頂きますと、ほんとうによかった、ありがたいと感動で胸が熱くなります。そして、これからもお客様の声にしっかりと耳を傾け、困っている方に喜んでいただける製品をつくり続けよう、と改めて心に誓うのです。

感謝の声が届く喜び

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