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インバウンド研究会

第4期 中国市場に向けた商品PR研究会

2021年3月から2021年6月にかけて開催

第4期は、コロナ禍によるインバウンド市場の減少に伴い「中国市場に向けた商品PR研究会」に内容を変更し、開催しました。

第4期 中国市場に向けた商品PR研究会 参加企業(8社、企業名は五十音順に記載)
株式会社石原商店、株式会社井田コーポレーション、エステー株式会社、大島椿株式会社、小林製薬株式会社、
大日本除虫菊株式会社、丸紅食料株式会社、ライオン株式会社

【 第4期研究会の活動 】

1.スケジュール

・3月下旬~4月上旬 
 商品体験:事前に在日KOC30名宛に、研究会参加メーカー8社・17の商品を送付し、体験してもらう
・4月16日(金) 
 在日KOCとの商品体験/座談会
・4月19日(月)~5月7日(金) 
 ハッシュタグキャンペーン
・4月26日(月) 
 KOLによるライブ配信

■KOC(Key Opinion Customer)とKOL(Key Opinion Leader)の違い


 KOCは、自分が体験した商品やサービスに対するレビューをありのままに発信し、口コミを発信する影響力が高い消費者。KOLのように多数のフォロワーを抱えることではなく、自分の周りの一般ユーザーに影響を与えることがポイント。感想をありのままで発信し、信憑性も高い。プロモーションの際には多数のKOCを起用し、そのKOC達の裏にいる多数の消費者へ情報発信を行う。本研究会では、中国の大手口コミサイト「美団点評」が認定している複数の達人KOCが参加した。

 KOLは、SNS上で特定の分野において影響力のあるインフルエンサー。KOLの発言を信じ、応援するフォロワーが多く存在する。プロモーションのプロでもあるため、プロや専門家の角度から商品のアドバイスやおすすめができる。プロモーションの際には1名や少人数のKOLを起用し、KOLのフォロワーへ情報発信を行う。




2.本研究会で実施した3つの企画


(ア) 座談会
・実施日時:4月16日(金)16:00~19:00
・実施場所:アゴラカフェ 日本橋三井タワー(東京都中央区)
・参加メーカー:8メーカー
・参加KOC:10名
・イベント趣旨:在日KOCと商品の体験に関するディスカッション
・実施内容:KOCによる商品体験談発表
      メーカー様による商品紹介 / 質問
      メーカー様とKOCのディスカッション


(イ) ハッシュタグキャンペーン
・実施期間:4月19日(月)~5月7日(金)
・実施内容:在日KOC(30名)がチョイスしたおすすめ商品を彼ら目線で発信(KOC1人あたり最低 2投稿:それ以上も可)
 座談会に参加したKOC(10名)はイベント当日の様子対する口コミも発信
 個々で発信したUGC(User Generated Contens:一般ユーザーによって作られたコンテンツ)をさらに一つのページにまとめ、#ハッシュタグキャンペーンの形で露出(JSTO公式アカウントと連動)





(ウ) KOLによるライブ配信
・実施日:4月26日(月)
・実施内容:JSTO公式アカウントを通して配信(配信終了後も「再視聴」可能とした)
 日本メーカーに詳しいインフルエンサーを起用し、在日KOCがチョイスしたヒットしそうな商品8アイテムを紹介
※日本商品に関心のあるユーザーにアプローチを強化。北京・上海在住、訪日旅行の傾向が高い、日本での買い物が好きなユーザーをターゲティングの対象とし、ライブ配信の広告を露出






3.本研究会で得られた知見

・複数メーカーでPRキャンペーンを実施することができた
・KOLとKOCの違いと使い分け(フォロワー数の違いとKOCの客観的・消費者目線の評価)
・KOCの商品に対する視点と考え方、最適なKOC選定のノウハウ
・中国人が利用するプラットフォームの集客効果
・ハッシュタグキャンペーンの概要とその効果(定性的情報、定量的情報:PV数やリーチ数等)
・1000元ボーナスキャンペーンなど、施策認知のためのテクニック(平均25万PV が43万PV)
・ライブ配信に向けた集客施策の効果検証(各ページからの流入数など)
・単品商品や単一ブランドでなく、複数ブランド商品を紹介することで、広告色が薄まる効果がある
・複数メーカーでの共同PRは商品認知の点で一定の効果がある
・活動全体を通じて、商品に関する中国人目線での評価を受け取ることができる
・KOCとの座談会は多くの率直な意見を聞くことができるので、時間の余裕があった方がよい
・座談会のリラックスできる雰囲気作り(今回はカフェ)は大切
・中国人は日本人以上に日本製品への探求心が強い

(今後の課題)
・キャンペーンから購買に繋げる仕組み(旗艦店情報やECサイトへの誘導)
・今後、実施するにあたってのコスト感覚など


4.まとめ

・株式会社 BRAND JAPAN 代表取締役社長 李 思萱氏 談話
 今回は、在日KOC・KOLの取り組みのお手伝いをさせていただきました。元々、美団点評は中国最大の口コミサイトとして、日本のメーカーの皆様にとってはインバウンドマーケティングのメインの戦場でしたが、新型コロナウイルスの影響で中国人が訪日できなくなりました。そこで美団点評の皆様が考えていたのは、在日中国人を通じて本土に宣伝するため、在日中国人KOCのコミュニティを立ち上げることでした。幸いにも弊社がそのお手伝いをすることができ、立ち上げ以来、様々な活動を実施してきましたが、今回は主催者であるプラネット様のおかげで、複数のメーカー、複数の商品を一度にKOCに体験してもらうことができました。コロナ対策をしながらメーカー様とKOCが集まった座談会は、たいへん貴重な体験でした。メーカー様にとっては中国の消費者に直接触れる機会となり、中国人KOCもメーカー様と直接お話ができたことで、たいへん場が盛り上がりました。今後もこのような場を作っていけたらと考えています。インバウンドが回復した際、在日中国人の口コミが訪日中国人の行動に大きく影響するという予測もありますので、今後も引き続き、皆様のお手伝いができるよう努めてまいります。

■株式会社USPジャパン 新津研一氏 講和
●メーカー共同の取り組みでわかった新たな知見
 今回参加された企業の皆様は、すでに越境EC、海外向けの施策は各社で十分対応されていると思います。そのような中、今回、共同で取り組むことによってわかったこと―― 研究会だからこそ得られた知見と、今後に向けての考え方の二つのテーマでお話ししたいと思います。
 まず、共同で取り組んだ研究会だからこそ得られた知見は、一つ目がお客様の力、二つ目がメディアの力、三つ目が協業する力です。
 一つ目のお客様の力というのは、今後私たちが商品開発、情報発信をする際のヒントを持っているのは、何よりもお客様だということです。お客様に直接聞くことがどれほど重要かは十分わかっていたはずですが、インバウンド(のお客様)、あるいはKOC・KOLの方の本音の意見はこれまでなかなか聞けなかったのではないでしょうか。今回は皆で取り組むことで、お客様の本音の意見を引き出せたことが大きく、特に中国のお客様が、日本のメーカーや商品に対して大きな期待を持っていることが私たちの自信にもなったのではないかと思います。
 二つ目のメディアの力については、今回、「日本の良い商品」というテーマで、座談会を実施しました。KOCの方々の評価が最も高かったのもこの座談会ではないでしょうか。KOCの方々のコメントを見た中国のユーザーも、メーカーの皆様もこの座談会というメディアを残したいと思っているでしょうし、その効果は大きいと思います。今回の座談会があったからこそ、美団点評様もこの企画に協力し、露出を大きくしてくださったのだろうと思います。私たちがこうした新しい場を作ることで、他のメディアが取り上げたい、ユーザーが見たいと思える大きなメディアを持てたことは、今回の功績だと考えています。
 三つ目の協業の力については、今回開催した座談会は、1社ではなく複数の企業が集まったからこそできたことです。そして、お客様を味方につけられたことがすばらしかった。競合を超えて協力し合い、公平に消費者と取り組みを行うことがお客様を味方につけます。今回、参加者が実感したように、コメントの質やシェアのされ方が通常のKOC施策とは大きく異なっていました。これは参加いただいたKOCの方々の喜びが伝わったからです。お金をもらって、宣伝のためにつぶやいているのではなく、この座談会に参加して本当によかったと思っていただいた結果だと思います。

●インバウンド回復に向けて取り組むべきこと
 続いて、大きなテーマの二つ目である、今後に向けての考え方についてお話ししたいと思います。今、外国人が来日しない中で、なぜインバウンドなのか、越境の方が儲かるのではないか、輸出の方がいいのではないかと思う方もいらっしゃるでしょう。ですが、私はインバウンドに大変大きな意味があると思っています。
 海外での販売や越境ECと訪日インバウンドが全く違うのは、お客様の気持ちです。海外輸出や越境ECにおいては、お客様は日常の中で、日常の必需品のようなものを購入されます。一方、インバウンドでは、普段住んでいない海外に行き、非日常の、特別な時間の中で、テンションが高く、すごく買物したい、観光したい、他の人にもシェアしたいという気持ちでお買物されます。そのため、消費力、拡散力が全く違います。今は苦しい時期ですが、インバウンドは必ず回復します。訪日外国人の方はコロナ前以上の爆発力で戻ってくるということ、また、インバウンドのお客様のマインドが違うということを踏まえて、私たちはインバウンドを研究しなければならないと思います。
 次に、競争相手について考えてみます。今回参加された各企業は、普段は競合同士という場合もあるでしょう。しかし競合は国内のメーカーだけでなく、海外のメーカーでもあります。そして、国同士でも戦っています。どの国も、どの企業も自らの利益を守るためにあらゆる施策を打っています。その中で私たちは、まず日本が他国より競争優位に立つことを優先し、その次に国内の競合を見るべきです。
 一社一社が私たちの企業はすばらしい、この商品は素敵だということの積み上げでも一定の売上は上がります。しかし、日本の商品はすばらしいというブランディングがなければ売上はそこまで上がりません。その意味で、今回の研究会で日本の主要メーカーが集まって情報を発信したパワー、信用力が大きなヒントになると思っています。
 最後に、反転回復に向けてのお話をさせていただきます。日本でも年内にコロナワクチンの接種が進むことが見えてきました。ワクチンの効果が続くことが前提ですが、早ければ年内、来年には訪日観光客が戻ってくる可能性があります。1年半前を振り返ると、止まって施策を打つ、大手メディアと話す、競合メーカーと一緒にアイデアを絞るような余裕はなかったと思います。今からそれを考えるには、あと半年しかない。来年の1月にはもう忙しくて止まっていられなくなります。その時に走りながらムダなお金を使って競争し続けることに終始するのはもったいない。各社の利益はぞんぶんに生かしていただきつつ、皆で取り組んだことをうまく継続していくのも、研究会の今後に向けての大きなヒントになるでしょう。ぜひこれからも一緒に大きく取り組みを広げていければうれしく思います。

株式会社プラネット 執行役員 イノベーション推進部長 今村佳嗣 コメント
 研究会にご参加いただいた皆様に感謝申し上げます。BRAND JAPAN様、USPジャパン様、美団点評様には今回の研究会に多大なご協力をいただき、本当にありがとうございました。今回の研究会ではたくさんの知見を得ることができ、中国のマーケティングは奥が深く、動きが早すぎて、セオリーがつかみづらいということを改めて実感しました。また、「やってみなければわからない」ということを最も強く感じました。
 今回は、座談会、プラットフォームを使ったキャンペーンとライブ配信を行いましたが、やってみて初めて気づくことがたくさんあり、今後、インバウンド研究会に戻った後も、研究だけではなく、トライして検証するということを続けていきたいと考えています。新津様のお話にもあった通り、インバウンドは必ず戻ってきます。そして、戻ってきた時は1年半前と同じ状況ではなく、新しいマーケットが形成されていくでしょう。マーケットの変化に合わせて対応するのではなく、私たち自身が新たなマーケットを作っていきたいと思います。そして、インバウンドの本質、中国人のマーケット、中国人の生活の本質をつかんでいけるような研究会に発展させていきたいと考えています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

お問い合わせ先

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E-mail :ri@planet-van.co.jp