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会長の読書(旧「社長の読書」)

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何のために働くのか
(北尾吉孝著、致知出版社)

何のために働くのか

 北尾吉孝氏はホリエモン騒動の時に、突如登場した「ホワイトナイト」として記憶している人も多いのではなかろうか。彼は、野村証券からソフトバンクを経て、現在のSBIホールディングスを起こした事業家で、一部の人たちの評では、尊大な人柄といわれていた。

 その彼が、働く価値を論じる本を出した。ホリエモンを初めグッドウィル・グループの折口雅博会長など、商道徳上問題があった新興の経営者が次々と現れては道を踏みはずす経済界の荒波を生き抜いてきた北尾氏がどのように道理を説くのだろうか?興味深く読み始めた。

 本書には、論語を初めとする中国の古典の引用が多数ある。氏は江戸後期の儒学者北尾墨香の流れを汲む儒家に生まれ、幼少のころから祖父や父親からたびたび聞かされ身に付いたという。

 はじめに、日本人の仕事観は「仕事とは公のためにするものである」「仕事とは天命に従ってするものである」と定義している。公のための仕事とは、「信・義・仁」に沿った価値観をもって遂行すべきであるという。天命とは、自得に勤め自分のやるべきことを見出すことであり、そのためには懸命に仕事をし、自己研鑽(けんさん)を積み、光明を見出す必要を説いている。

 論語を初めとする四書五経、松下幸之助、稲盛和夫の経営哲学、更には石田梅岩まで引き合いに出して語っている。難しい用語が出てくる割には、分かりやすい説明になっている。

 なかでも面白かったのは、初心を忘れないために必要なことは「憤」であると言うくだりである。世の中の不条理に憤りを感じつつ、日々の苦難を克服していくことは、必ず自己実現につながるだろうということは理解できる。

 また、自分を鍛える方法の一つとして「すべてのことを自分のこととして考える」をあげている。すべてが自分に帰着すると考えれば、反省が生まれ、成長をもたらすというわけである。  ユニ・チャーム創業者である高原慶一朗氏も「原因自分説」をとなえ、失敗はすべて自分にあると経営者は捉えるべきと常々言っていたことを思い出させる。

 本書の内容は、まさに正論であり、無垢なる青年が素直に受け容れれば、糧となる良書である。
 しかし、世の疑り深い中高年は、本書を読んでどこまで納得するだろうか。最後の章で、氏が自ら実践躬行(きゅうこう)して「SBI子ども希望財団」を運営していることを知るに至り、北尾吉孝氏を再認識した気がする。今後の事績に注目していきたいと思うようになった。

以上

[ 2007年6月15日 ]

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