第2章 物流集約化の現実的問題点

 第1章では、業界における物流事情とその改善方向、今後のサプライチェーン効率化に向けての物流集約の必要性と可能性について、さらにはそのメリットについて検討を加えてきた。しかし、現実にはより具体的になればなるほど諸々の問題があることも事実である。そこでこの章では集約物流センターの集約化の方法として仮に、卸売業が共同で運営する方式を選択した場合を中心として、想定されるいくつかの問題点、留意すべき点を洗い出し検討を加えてみた。


2-1 共通資源活用上の問題点

 物流の集約化をはかることで解決しなければならないものの一つとして、共通資源について、どのような合理的活用を実現するかという問題がある。(ここで言う共通資源とは物流センターにおける建物、マテハン機器、コンピュータなど、ハード及びソフト・商品・要員などを指す)
 その問題の内容と解決策についてあげてみる。


(1)情報処理システムの共通化

 センターを運営するにあたっての情報処理システムは、当然共通の標準化された内容でなければならない。そのために共同運営する各卸売業では、その内容に合わせたシステム化が実現できなければならない。
→各社サーバーとのインターフェース開発

→EDIの統一化、標準化

→商品コードや得意先コードの共通化データベース作成

(2)在庫の持ち方

 センターがDC型(在庫型の物流センター)である場合はその在庫の所有者をきちんと規定できなければならない。在庫管理は共通で行うこととなるだろうが、その内訳としてはどの卸売業の所有であるかを明確にし、しかもタイムリーにわかるような仕組みが必要である。
→棚卸時期の決定(各社で決算月が異なることによる問題)

→余剰在庫調整(センター全体で考えるか、各社に任せるかなど)

→原価の格差調整(販売規模によって各社の原価が異なる、但し他社にはオープンしない)