(5)人的集約効果
  1. 集約化による穴埋め効果
     例えば5~10人で作業を行う卸売業で、ある時間内の作業に対して人員が5.5人必要だとすれば、通常6人投入され、0.5人分の余剰が生じる。しかしこれが100人単位の人員を必要とする集約物流センターであれば、余剰の端数分を出さずに効率的に作業配分が可能になる。

  2. スタッフ事務の効率化
     採用、退職、勤務管理、給与支払などの共通業務の最適配置、また、季節調整や催事、学校行事などで問題になるパートタイマーの時間帯別の調整についても規模が大きくなることにより、採用エリアを広範囲にすることができるなど、事務作業の効率化が可能になる。

  3. 優秀な人員の確保
     大量の労働力を要するため、採用者の中から有能な人材を得られる機会が増える。またその評価、配置転換についても十数名規模ではパートタイマー同士が知り合いであったり、個人の顔も浮かび、公正に行いにくいが、100名を超える規模であれば客観的に行いやすい。

  4. マイクロチューニングの有効化
     物流改善効果の有効性を数値でみた場合、例えば、ピッキング作業の効率化についてみると、20~15年前のシングルオーダー、シングルピッキングから合計ピッキングへと言う時代には、30%の工数削減が可能であると言う事例があったが、現在では物流改善も進み、例えば高性能なピッキングカートを導入しても5~10%程度の改善が限度になってきている。しかしこのことは10名程度の規模では人員の削減は難しいということになるが、ピッキング要員が100名の規模になれば、数値に比例して10名程度の削減が可能となる。つまり規模が大きければ小さな改善も全体では大きな合理化につながるといえるのである。