集約物流センターを想定した場合、小売業、卸売業、メーカーとも当然それによるメリットを享受できなければ意味がない。ここでは想定されるメリットについてふれてみる。
(1)在庫削減効果
- 在庫ボリュームの削減
集約物流センターにより従来は散在していた在庫が集約され、特に低回転品の在庫についてはかなり効率的な運用が可能となり、在庫削減に大きく寄与することが期待できる。また、高・中回転商品については、現状の卸売業におけるいくつかの事例からみると、高回転商品については上位20品目程度で日数にして1.2~2.5日分程度、100位まででも3日前後の在庫日数で対応していると考えられるため、集約物流センターにしても在庫削減効果はあまり変わらないと考えられるが、中回転商品については10~25%程度の在庫削減にはなると思われる。
また、メーカーにとっては初期の段階では在庫集約による売上減などの影響はあるもののそれ以降は流通在庫が削減され、商品の回転率向上、鮮度向上などが期待できる。
- 在庫最適化システムの導入
小規模では導入がむずかしい高度な在庫最適化システムが実現でき、結果として欠品が減る。
(2)受注集約効果
- 小売業のメリット
- A.発注の集約化
- 集約物流センターでの帳合マスター等が整備されれば、取引上は発注先は別になっても、物流上では発注相手は集約され発注業務の作業効率が高まる。
B.ビジネスプロトコルの統一
- 納品書などの伝票類、また、EDI化を行う際の手順、フォーマットについても卸売業ごとではなく統一されるなどの効果があり、特に従来困難とされた卸売業についても統一化が可能である。
C.商品受け入れの効率化
- 検品やバックヤードへの移動などがまとめてでき、店内オペレーションコストの削減が可能となる。また、納品元の精度の違いにより、検品なども個別対応であったが統一化され水準も上がる。
D.サービスの平準化
- 高機能、高精度の物流サービスが安定した水準で受けられるようになり、小売業ごと、あるいは店舗ごとにおけるばらつきは平準化される。
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