物流センターのモデルを検討する前に、小売業が卸売業と取引を行う際にどのような基準で取引卸売業を選定するかについて考えた。選定基準を検討した理由はというと、これから想定、検討しようとする集約化された物流センターが小売業から選んでもらえるものでなければならないからである。つまり選ばれるべき卸売業の姿が実現されていなければ、この検討テーマである集約された物流センターは小売業から選ばれないということになる。但し、ここでは物流の分野のみに限定して検討した。 選定される時にあげられる一般的な基準はおよそ次の様なものとなる。 (1)納品精度が高い(欠品が少ない、品違い、数量違いが少ない) (2)ジャストインタイム納品(指定時間に着いて、すぐに受け入れられる) (3)品揃えが豊富(フルラインであるかどうかは小売業による*1 ) (4)コストが低い(商品価格が安いという評価でもある) (5)EDI対応ができる(ASNなど) (6)センター納品に対応できる(SCMラベル貼付、箱シーケンス対応、カテゴリー別〔通路別〕納品など) (7)特殊対応ができる(専用ラベル、内容明細、特殊EDIなど) (8)特売対応 (9)商品加工対応(包装、梱包、シュリンクパックなど) (10)値札貼付対応 (11)その他(夜間配送、予約在庫、預かり在庫など) これらの基準は小売業ごとに異なったウエイトで評価されることになる。 *1:発注が週2~3回と考えるとフルラインの場合には納品がある日とない日で作業に大きなムラが出てしまうためこれをきらう小売業もある。 以上のように物流面だけを捉えてみても現状での各小売業から種々の物流サービスの要請がある。しかしこれらの要請を実現することと、そのためのコストは通常トレードオフの関係にあると考えられる。従って集約化された物流センターを検討するためには必ずしも全てのサービスの要請に応えるということではなく、提供する物流サービスの範囲を明確に規定しておくことと、それに伴うとコストを明確にしておくことが大前提となる。 |