(1)環境変化のシナリオ
業界サプライチェーン・モデルでは、さまざまな変数に現状を考慮した数値を入れて中間物流拠点数と物流コストを算出したが、環境条件の変化により、これらの数値が大きく変わった場合には、どのような結果が算出されるかを、次の2つのシナリオについて検討した。なお、算出は、首都圏についておこなっている。
- 物流量は変化せず、小売店の数が大幅に減少した場合
| 小規模小売店の後継者不足等の要因による減少、大規模小売チェーンの比率の上昇により、小売店の数が現状の2/3になった場合を想定した。小売店の数が減少しても、生活必需品の多い化粧品日用品業界では物流量が大きく変化することはないと考えられるので、物流量に関する変数は固定した。
| このケースでは、配送トラックの積載効率、回転数が改善して、配送コストが低下することが予想される。
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- 小売店が要求する商品荷姿のケース比率が高まった場合
| 小売店の業態変化により、ケース納品の比率が高まった場合を想定して、小売店に配送する商品のバラ・ケース比率を7:3から3:7に逆転した場合を算出する。
| このケースでは、中間物流拠点におけるピッキングの荷役費用が改善して、中間物流拠点の荷役・在庫コストが減少することが予想される。
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(2)算出結果
- 小売店の数が2/3になった場合
最適中間物流拠点数は変化がなく、配送コストが14.1%、総物流コストでは2.64%減少する。
小売店の数が1/3減るという大きな変化があっても、最適な中間物流拠点の数に変化がないことが注目される。
- バラ・ケース比率が7:3から3:7になった場合
最適物流拠点数には変化はない。コスト額の面では、拠点荷役在庫コストが24.0%、総物流コストでは9.1%減という大きな変化が見られた。
1.と同じく、小売店が要求する荷姿に著しい変化があっても中間物流拠点数には変化がない。ケース単位で配送できることのコスト削減効果は非常に大きいことがわかる。
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