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会長の読書(旧「社長の読書」)

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戦略をつくる力
(若松孝彦著、ダイヤモンド社)

戦略をつくる力

 本書において戦略とは「勝利するための行動を最大限に引き出す『組織目的の設定』と、機能分化した組織を統合しながら変化する顧客ニーズを満たすための『経営資源の配分』である」としている。いささか慎重な言い回しである。

 平たく言えば、戦略とは目的達成のためにいかにして勝ち続けるかという方法論であると思う。勝ち続けるために、勝てる分野を見い出し、そこに戦力(経営資源)を集中投入する。孫子、クラウゼヴィッツ、ランチェスターいずれも、多少表現は違うが、「勝てるところで勝ち、勝てないところでは戦わない」と述べている。

 ジャック・ウェルチは「選択と集中」といっているが、これも勝てるところを選択し、そこに集中することである。さらに、コトラーのセグメンテーション理論も市場を区分し、優位性のあるところでシェアを確保するというマーケティング戦略である。

 本書の著者で、経営コンサルタントの若松孝彦氏は、経営者に語りかけるように記述している。まず、会社の存在理由を問いかけ、会社のミッション(存在価値)と経営理念を明確にすることを求める。しがらみや義理そして見栄で、目的とは噛み合わない方向に経営資源を向けてしまう経営者が多いことから、ここから始めることには深い意味があると思われる。目的を見失った戦略はありえないからだ。

 若松氏は小賢しい企画スタッフが嫌いなのだろうか、理路整然と企画を策定しパワーポイントを巧みに操って役員会で上手に説明する人たちが成功をもたらすわけではないと述べている。たしかに、いかに100点満点の戦略企画を作っても、実施が50%であれば、結果は50点である。「組織は戦略に従う」というが、戦略を確実に実現する組織設計が必要であるし、組織が意欲を持って活動しなければ、目的達成には結びつかない。

 戦略を展開するのに障害となる官僚主義、セクショナリズム、前例主義など組織の問題点を指摘しているが、続いてトップの言動についても言行不一致、恐怖政治、裸の王様など、経営者が陥りやすい問題も取り上げている。

 経営コンサルタントとしての長年の経験から生み出されたものと思われるが、単なる抽象論ではなく、何をしたらいいか、多くの示唆を与えてくれている。経営者には分かりやすい説得力のある表現に満ちている。多くの経営者にお勧めできる一冊である。

以上

[ 2007年11月28日 ]

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